FC2ブログ
アクセスカウンター


お知らせ
最新話→77話 生命と命←NEW! リンスのつぶやき→は、は、は…春休み!


Dutyバナー


--.--.--     カテゴリ:  スポンサー広告 

   スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

2012.07.17     カテゴリ:  Duty-本編- 

   36話 兄弟


 ハチコウが工場を訪れなくなってから2週間が過ぎた。セナは完全に無職・ニート状態になり、もはや私の母親のように私の世話に懸命に励んでいた。ある程度の貯金はあるという彼の言葉を信じ、私は何も口を出さなかった。だが一体いつになったらハチコウと仲直りするのだろうか?セナが意地を張っているようには見えない。むしろセナはハチコウに避けられているのではないだろうか。ハチコウに連絡を取っても、着信拒否されているとか。そう考えると、セナが可哀想に思えてきた。しかし、私の推測ではその状況に近いのではないかと思う。セナがハチコウを拒否しているようには見えない。どちらかと言うと、ハチコウが謝ってきたらセナはすぐにハチコウを許すだろう。やはりハチコウがセナに対して一方的に怒っているようにしか見えない。これではセナにいくら仲直りをしろと言っても無駄だ。意地を張り続けているのはハチコウなのだから。
「ねぇ、セナ!」
「…セナ君はお留守です。ピーっという発信音の後にメッセージを入れて下さい。ピー。」
 いつもセナが仕事をしていた机の上に、教科書とノートを置いて私は勉強していた。セナはと言うと、ベッドの上に横になって私の小型ゲーム機で遊んでいる。セナが今プレーしているゲームは私の恋愛シュミレーションゲームだ。当初、セナに「暇つぶしできるゲームない?」と聞かれ、仕方なく貸したのだ。私は「何だこれ。女用じゃん。」という台詞を期待していたのだが、これが案外セナにウケてしまったようなのだ。ここ最近何十時間もその恋愛シュミレーションゲームに没頭してしまっている。
「それ…おもしろい?」
「黙って。今ユウタ君と上手くいきそうなの。」
「え?レン君は?」
「レン君はコンプリートしたよ。」
「はやっ!」
 私はある考えが浮かぶようになった。
もしや、セナの中身は女の子なのではないか…と。
「どうかした?理真ちゃん。」
 私はキョロっとした目をセナに向けられ、目を逸らした。弁当のことと言い、私の母親のように家事をこなすことと言い、女子力が抜群過ぎる。普通、私の洗濯物まで畳んでくれる男がいるか?少なからず「自分で畳め」と言うはずだ。しかしセナは無表情で私の下着まで畳む。やはり…。
「どうしたの?大丈夫?なんかボーっとしてるけど。」
「大丈夫だってば。」
「ふ~ん。」
 言葉遣いだってそうだ。外見に似合わずオレ様口調ではない。やはり中身は女の子なのだろうか。もし女の子だったらどうすればいいのだ!?…まさか、ハチコウはセナの中身が女の子だと知ってショックを受けて工場に来れなくなってしまったとか?だが私の心の中では「それはないだろ」と、もう1人の私が冷たく批判している。そうだ。セナは充分男らしいではないか。…どこが男らしいかと言われると答えられないが。
 彼は暇なのだ。だから仕方なく女性用恋愛シュミレーションゲームなどをプレーしているのだ。けして中身が女の子というわけではない。きっと。
「ねぇ、セナ。遊びに行かない?」
 これ以上際どいことをされると、こちらが不安になってくる。セナは突然の私からの遊びの誘いにゲーム機の画面から勢いよく、私に綺麗な目を向けた。
「行く!行く!行く!どこ行く!?」
 思った通りの反応だ。セナ、お前はいい奴だ。
「…駅前で買い物とかは?」
 …結局はセナのお金で買い物をすることになってしまうのだが。
「行く!行く!行く!」
 行くと連呼しているセナは、ベッドから降りてTシャツを脱ぎ出した。いつものようにTシャツの上に黒いジャンバーを着ればよいと思うのだが、なぜ脱いでいるのだろうか。
 セナは自分が白いTシャツを着ていたことにやっと気付き、「あ、間違えた」と言ってまたTシャツを着直した。


36-1



「…無駄なことをするなよ。」
 仕事が無くなったおかげで、セナは更に力が抜けてボケた気がするのは、やはり私だけなのだろうか。





 駅前は休日だということもあり、たくさんの若者で溢れていた。ファッションの店を中心として栄えている駅前は、飲食店も充実している。人混みが苦手で人にすぐ酔ってしまう私は、やはりこういう場所が嫌いだ。しかしいつまでも引きこもっているわけにはいかない。だから私は勇気を振り絞って今、ここに立っている。
「人が多いね。」
 私の隣でそんなことをぼやくセナ。彼は背が高く、髪の色が明るいため、誰もが目を向ける。大抵女性は頬を赤くしたり、ざわざわと騒ぎ出す。相変わらずだなと思い、隣のセナを見上げようと視線を動かした時だった。斜め前方にいる私服を着た女子高生らしい彼女たちと視線がぶつかった。一瞬知り合いかと心臓が跳ねる。だが冷静に考えても、私は彼女たちの誰1人も知らなかった。はっとしてセナを見上げて思った。
 まさか私がセナの彼女だと思われているのか?困ったことになった。私はセナと付き合ってなどいない。それに私はセナと付き合えるような可愛くて綺麗な顔もしていない。彼女たちは、どうして私みたいな奴がセナと付き合っているのだろうと思い、私を見ていたのだ。
 違うんだってば。その声が彼女たちに届くことはない。
「理真ちゃん、化粧すると別人みたいになるんだね。可愛い。」
 そう言いながらセナが私の顔を覗き込んでくる。セナに可愛いなどと言われたのは初めてではないだろうか?
「え?あんまり変わってないでしょ。あたし、そんなに化粧上手くないし…。」
 確かに夏実に化粧の仕方を少しだけ教えたのは事実だが、私は他人に誇れるほど化粧が上手いと思ったことはない。
 なぜかセナが無言で微笑んでくる。もしやセナにお世辞を言わせてしまったのだろうか。本当は結構可哀想な顔になっているとか?
 私は焦ってバックから鏡を取り出そうとした。しかしセナにその手を突然掴まれた。
「え?何!?」
「…不思議だよね。10年前はあんなに幼くて、手ももっと小さかったのに…。」
 いきなりセナが10年前の話をし始めた。


36-2



「今じゃもう、女なんだもんね。」
「おい。大人になったとか他の言い方はないの?女って…。」
 女と言われるとなぜか下品な気がする。セナが言うからかもしれないが。
「早く行こう?こんな広場にいるよりも、お店の中の方が楽しいって!」
 私と手を繋いだまま、セナは人混みの中へと走る。
「ちょっと!なんで手繋いでるの!?」
 これは彼のオーバースキンシップだ。なぜ私がそう言えるのか。
 私とセナは一緒に暮らしている。セナが私を女と認識していたら、私のことをあんな風に面倒を見られるはずがない。そうだろう?それに結局セナは私を弟のように思っているに違いない。いや、絶対に弟だと思われている。彼は口で私を女と言ったが、頭の中での認識上は男に近い。それ以上、それ以下でもない。兄弟のような関係。それが私とセナの関係なのだ。






スポンサーサイト
web拍手 by FC2








トラックバック

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)




プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

ブロマガ購読者向けメールフォーム


検索フォーム
すぴばる
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。