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2012.04.10     カテゴリ:  Duty-本編- 

   25話 経験と自信



「ねぇ!夏実!」
 突然、ニヤニヤと不吉な笑みを浮かべながら近付いて来た彼女たちに、夏実はあのことかと想定がついた。
「ねぇ、聞いた?リマティーから例の茶髪のお兄さんのこと。」
「まだ分からないけど、いっつもメールしてるみたいだよ。」
「あのリマティーが最近携帯いじってるのって、茶髪のお兄さんとのメールだったの!?」
 ふと理真に目をやると、やはり机の下に携帯電話を隠してメールをしているようだ。
「一緒に弁当食べてるのに、なんでさっさと聞かないの?『彼氏いるの?』とか。」
「聞けるわけないでしょ!?お父さんとお母さんが亡くなったばっかりなのに!」
「声がデカいよ!夏実!」
 休み時間のため、教室も廊下も生徒たちの声で溢れていて安心した。夏実の声は理真に聞こえてはいなかったようだ。
「でもいいんじゃないの?ある意味リマティー、前に進んでるんだし。」
「母親への道ってこと?ある意味って。」
 彼女たちは口を大きく開けて笑う。その中で夏実は平然とした表情のまま、断言するかのように言った。
「あたし、今日理真のところつけてみる。茶髪のお兄さんの顔、見て来てあげるよ。」
「え?マジで!?」
「流石情報ハンターだね。」
 そう。夏実は言わば情報屋の役割を果たしている。


夏実と電柱



しかしそんな彼女を気に入らない女子生徒も数多くいる。そのほとんどが実際に彼女につけられた被害者たちだ。被害に遭った彼女たちも敵対したい気持ちはあるのだろうが、夏実は学年でも成績がトップクラスということで有名で、その上美人だ。権力を持っている彼女には、やはり敵対したいという気持ちも薄れていってしまう。
「でも大丈夫なの?見つかったらどうするの?」
「大丈夫。あたしは今までつけてるのがバレたことは一度もないから。」
 夏実にはこれまで積み上げてきた経験と自信あった。
「ねぇ!ちゃんと茶髪のお兄さんの顔、見て来てよ!あっ。写メ撮って来てよ!」
「写メ!?そんなの音で気付かれるわよ。それに撮るだけ電池の無駄よ。」
「電池の無駄とか、超ウケる!どんだけブサイクなのよ!茶髪のお兄さん!」
 また笑い出す彼女たちの中で、やはり夏実は平然とした表情を浮かべていた。彼女は嘘をつくことも上手い。彼女の本当の目的は理真と一緒にいる男の顔を見ることではない。理真をその男から助けることだ。人のプライベートな恋愛に無神経に首を突っ込み、恥を掻かせようとする極悪人のような行動を取る彼女の本当の姿は、正義感の塊で作られていた。



「クソ。」
 今日一日で何通の迷惑メールが届いたか分からない。今から私は殺気立った雰囲気を引き連れて、奴の元へと向かう。そしてダイナマイトのように爆発してやるのだ。
 昇降口を出て校門へと歩いて行くと、見えて来た。奴の背中が。
「セナ!」
「わぁっ。お帰り理真ちゃん。」
 迷惑メールの犯人だ。セナは私の大声にわざとらしい驚き方をする。それに余計腹が立つ。
「何これ!嫌がらせ!?」
 私は彼の顔面に自らの携帯電話の画面を押し付けた。
「ごめん。全く見えないよ。」
「見なくてもどんな内容のメール送ったか分かるでしょ!?」
「え。さっぱりオレには…。」
 私の携帯電話を押し付ける手をどかしながらセナはとぼけ出した。
「『自動販売機で買うならお茶?コーヒー?どっち?』って、あたしがお茶って言うのは分かってるでしょ!」
「結局返信なかったけど、考えてくれたんだね。でもなんでお茶なの?」
 私は無表情で答えた。
「…あたしコーヒー飲めない。」
「あ。そうなんだ。ごめんね…なんか…。」
 どうせ私を子供だと思っているのだ。きっと。
「理真ちゃん返信くれないからオレ困っちゃったよ。自動販売機の前で30分間返信待ってたんだよ。」
「…え。あれ本当に買うために悩んでたの?」
「うん。後ろに人がたくさん並んでたけど、オレは全く気にせずに返信来るのを待ち続けてた。」
「嘘だよね?」
「本当だよ。」
 やめてくれ。なぜそんな恥ずかしいことを平気でできるのだ!?
「そしたらね、25分くらい経った時にね、ちょっとヤバそうな人に早くしろって胸倉掴まれちゃって。」


自動販売機



「は?」
「仕方なくコーヒーとお茶両方同時に押したのね。そしたら何が出て来たと思う?」
「コーヒー。」
 彼はなぜか嬉しそうに笑いながら手を後ろのポケットへとまわした。
「理真ちゃんの大好きなオレンジジュース。」
「嘘でしょ?どっちでもないじゃん!」
「はい。あげる。」
 私の手に、彼はオレンジジュースの冷たい缶を優しく置いた。コーヒーとお茶のボタンを同時に押してオレンジジュースが出てくるなんて有り得るはずがない。そうだ。彼は最初からオレンジジュースを押したのだ。だがセナはオレンジジュースを好んで飲むことは少ない。私のために買ってくれたのだろうか?
「あれ。『右にする?左にする?』って、まさかそれも本当に右か左かで迷ってたの?」
「うん。路地を車で走ってて、右か左かで迷ったから相談したんだけど、返信してくれなくて困ったよ。」
「で…どうしたの?」
 まさか立ち往生していたとか…?
「流石に渋滞させるわけにもいかないから、まっすぐ走ったよ。」
 彼の単純な質問のメールに、私は心理テストか何かかと思っていたが、実際に彼の悩んでいることだったとは。しかし迷惑メールに変わりはない。
「もうああいうことはやめて。授業中までメール送りつけてくるんだもん。」
「オレ、何時から何時までが休み時間か知らないもん。指定の時間があれば…」
「当分送って来ないで!」
「えぇ!?オレにはもう理真ちゃんしか!」
「気持ち悪い言い方しないでよ!ハチコウがいるでしょ!これからはハチコウにメールしなよ!」
 彼がもう私しかいないと言うのはおかしい。彼は確かに彼女を失った。しかしハチコウがいる。彼しかいないのは私の方だ。
「え。ハチコウ?アイツってなんかさ…」
「帰る。」
 わざとセナが話している途中で帰ると言い出してやった。セナは「ひどいよ」と言うような顔をして工場への帰路を歩き出した。
「ちょっと待って。」
「も?」
 飼い主がペットショップで「あのプードル可愛い!」と言っているところを目の当たりにしたラブラドールのような、悲しい顔のまま私の声に彼が振り返った。
「車は?」
「工場だよ?歩いて迎えに来たんだ。」
 そう嬉しそうに笑うセナ。なんてことだ。路地を車で乗り回していたくせに、私を迎えに来る時はなぜ車ではなく歩きなのだ!?
「なんで車じゃないの!?」
「えっ!?もしかして車希望だったの!?」
 気まずい空気が私と彼の間を流れて行き、校舎内で鳴り響いているチャイムが微かに聞こえてきた。
「理真ちゃん、学校で待ってて。」
「は?」
「車で迎えに来るから。すぐ来る。」
 そう言い残して彼は私を置いて走り出そうとした。私は慌てて彼の黒いジャンバーを引っ張った。
「い…いいって!歩いて帰ろう!?わざわざ戻らなくていいよ!」
「え、いいの?」
 どうせまた「右?左?」って路地で迷い始めそうだから。
「うん。一緒に帰ろ。」
 ひとまず彼を落ち着かせると、私は彼と並んで学校を後にした。



 つけられているということに気付きもしないまま…。




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ブロともって便利!更新がすぐにわかるんですもの。
今回は、とってもコメディ調ですね。セナ君、お茶目にも程があって、目立っちゃいますよ。
あと、イラストの夏実ちゃん、怪しすぎです(^_^;)
次回も楽しみです。

ブロとも、本当にありがとうございました☆

セナ君暴走です。本当にどうしようもありません・・・。
理真の返信を25分も待ち続けるという、根気・・・(笑)

夏実ちゃんw
なぜか美人情報ハンターという異名を持っていらっしゃいました!

セナ君と夏実ちゃん、キャラが濃い回になってしまいました(汗)




プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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