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2013.05.19     カテゴリ:  Duty-本編- 

   73話 エゴ




 黒ずんだ大理石の床に、血が飛び散った。
 デューティはセナを突き飛ばすように離れる。セナは走って来たスピードのまま、デューティに突き飛ばされた影響も受けずに、デューティの背後へと走り去った。デューティはセナを追うこともなく、佇んでいた。
「どうしてだ……」
 背後で止まったセナにデューティは振り返り、小さく嘆いた。その額の中心には銃で撃ち抜かれた痕があり、血が流れ出していた。


73-1



 デューティに背を向けていたセナも、静かにデューティへと振り返った。彼の顔は穏やかだった。先程とは別人のように、優しく微笑んでいた。
「オレは……お前を撃ったはずだ……」
 確かにセナの頭部に銃を放ったはずなのに、なぜ傷一つない?当てたはずだと、疑う心が静まらない。
 セナの頭から血が流れていないこと。限界を越えたはずなのに、また通常のセナに戻っていること。全てに納得がいかないかのように、デューティは目を見開いて唇を震わせる。
「当たったさ」
 そう言ったセナの額から血が流れ出てきた。両目の間から鼻の辺りで二筋にわかれ、流れ落ちていく。



73-2




「オレは……お前なんかに!」
 “お前なんかに負けない”セナにはデューティがそう言いたかったように見えた。デューティは大理石の上に仰向けで倒れた。それと同時に彼の手にしていた銃が床に転がる。
「オレは……お前なんかに……」
 呪うような声でデューティは呻いた。自分を見下ろしているセナを睨みつけ、そして睨み殺すような形相で、倒れたまま転がった銃へと手を伸ばす。そして銃を掴み取ると、立っているセナへと銃口を向けた。すごい執念だとセナは思った。しかしセナはデューティの掴んだ銃を蹴り飛ばし、彼の手の届かないところまで飛ばした。
「お前はDutyなんかじゃない」
 セナは静かにデューティを見下ろして、話を聞いていた。
「お前は……ただの化け物だ……」
 その後、デューティが口を利くことはなかった。目を開いたまま、まるで人形のように横たわっていた。アンドロイドから、ただのガラクタへと化したのだ。
「オレだってDutyなんだよ」
 魂の消えたデューティの瞳に向かって、セナはぼそりと呟いた。
「オレだって、義務を持った1体のアンドロイドなんだよ」
 政府にいる奴らから見れば、比べ物にならないくらいの義務の小ささなのかもしれないが、それでもオレにとってはたった1つの大切な義務なのだ。
 しかし、これが義務と呼べるのだろうか。オレが勝手に彼女を思って、勝手に行動する。義務なんて言葉にしてよいのだろうか。
 ……いいのだ。義務でよいのだ。オレは自分のエゴで彼女を巻き込んだ。オレみたいな欠陥品が近付けば、近付かれた彼女が危険な目に遭うことくらい、分かっていたはずなのに。どこかで大丈夫だと危機感を失っている自分がいた。これ以上、彼女の身に不幸なことが降り注がれないようにと、誰よりも強く願っていた。けれど一番危険で、彼女を不幸にするのはオレなのだ。
 義務でよいのだ。オレには彼女を巻き込んだ責任として、彼女を救い出すという義務がある。自分のエゴから始まった……義務。



 床にポタポタと血が滴り落ちる。やがて目眩が起こり、身体の節々が重くなる。急に足に力が入らなくなり、大理石の上に倒れ込んだ。
 乱れないはずの呼吸が乱れていく。荒い息をする。酸素なんて必要ないはずなのに。
 呆然と横たわったまま考える。




オレは理真ちゃんに好きでいてもらえたのかな?






 家族としてでもいい。オレは彼女に愛してもらえていたのだろうか。もし愛してくれていたのなら……オレは彼女に、また不幸を注いでしまったかもしれない。




心のどこかでアンドロイド以上として、見ないでほしいと思っている自分がいる。


アンドロイドだからと納得してくれれば、彼女の悲しみは軽減するはず。





なのに、それがオレにとっては悲しい。




君の悲しみが減るというのに、オレはアンドロイドという枠に納められるのが……






辛いのだ。






 血に濡れた手で床を這いながら、どうにか寄り掛かれる場所を探す。床に倒れていたら、このまま死んでしまいそうだ。
 西日が差し込む広いエントランスの壁に寄り掛かり、やっとのことで深く息を吐く。


彼女がオレの中で一番だということは変わらない。


お願いだから……悲しまないで。





 両親を失った彼女の落胆ぶりを見ているせいで、彼女の今後を考えただけで、心が締め付けられるように痛い。




でも大丈夫。君はこの数カ月で大きく成長した。大人になった。



もう……オレがいなくても大丈夫。





1人で、生きていける。


きっと、幸せに。








逆境を撥ね退ける力。明るい笑顔。それさえあれば……


73-3






大丈夫。









そ、そんな……。

セナ君……ちょっと待ってよ……


死なないって、言ってたじゃん……







リマちゃんを守るために、




自分の命と引き換えに……





   Byリンス






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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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