アクセスカウンター


お知らせ
最新話→77話 生命と命←NEW! リンスのつぶやき→は、は、は…春休み!


Dutyバナー


--.--.--     カテゴリ:  スポンサー広告 

   スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

2013.02.04     カテゴリ:  Duty-本編- 

   60話 絶望



 まだ社会に出て間もなかったオレは、アンドロイドの縄張りなど、知るよしもなかった。そのため、近道をしようと近付いたビルに、三流アンドロイドの集団がたむろしているなど、考えていもいなかった。新型だったオレは興味を持たれ、ビルの中に引きずり込まれた。何十体ものアンドロイドが襲い掛かってきて、怖くて必死に逃げた。アンドロイドの急所である頭を何発もの銃弾がかすめ、身体には銃弾が何発も当たった。足に当たってもひたすら逃げ続けた。
 ついに追い込まれて、頭に銃口を向けられた時、もう終わりだと思った。
















君のあの優しい笑顔が、オレの思考を静かに止めていった。


 
















 生臭い匂いと、焼けるような感覚で、オレは何かから解放されるように目を覚ました。よかった。生きていたと思ったのは、たった一瞬だけだった。気を失っていたはずなのに、なぜかオレは古びたコンクリートの床に足をついて立っていた。おかしい。気を失っていたというのに……。
 ふと周りを見渡して、オレは固まった。……まるで地獄絵図のような光景が広がっていたのだ。頭のないアンドロイドが無数に転がり、表皮が剥がれ、骨格部分が露出してしまっているアンドロイドまでいる。自分の足元にはアンドロイドの指が散乱していた。
 パニックに陥った。誰がやったのか、どうして自分だけが生きているのか……。
考えるまでもない。オレがやったのだ。しかしそれがどうしても信じられず、窓に反射している自分の姿にすがるように目を向けた。オレの全身は自らの血と返り血塗れで、右手には銃、左手には自分のものではないナイフを持っていた。オレは余計パニックに陥った。右手にあるナイフは、きっと他のアンドロイドから奪い取ったのだろう。しかし頭脳型のアンドロイドである自分が、ナイフによる戦法を兼ね備えているはずがないのだ。自分で自分を恐れた。オレは確かに頭脳型のはずなのに、どうして何十体ものアンドロイドを殺してしまったのか。
 暗いガラスに映る、2つの光源に気付き、オレは後退りをした。誰かに見られたかもしれない。しかしそれは……発光した自分の2つの瞳だった。



60-1







自分の身に一体、何が起きていて、自分は一体何者なのか。転がっていたアンドロイドの頭が全て自分を見ているような気がして、オレは狂ったように叫びながら地獄のようなその場所から逃げ出した。



 その夜は当然、一睡もできず、多くの傷を負った身体を休めることもできなかった。ソファーに仰向けになり、工場の天井を見つめ続ける。きっとオレは欠陥品なのだろう。でなければ、意識が飛んでいる間にあのようなことをするわけがない。耳にはさんだ情報の中に、リストに載っていない何十体もの三流アンドロイドが、一気に殺されたというものがあった。紛れもなく昨晩オレがしてしまったことに間違いなかった。リストに載っていないアンドロイドを殺したということは、政府の設けているルールを違反したことになる。
 違反すれば……焼却処分だ。











殺されるのだ。











 トタンの剥がれた、よくある閉鎖された小さな工場に息を潜めていたとしても、政府は必ずルールを違反したアンドロイドを探し出す。政府直属の精巧な頭脳型アンドロイドと戦闘型アンドロイドを使って、その場で殺す。
 今やオレは頭脳型でも戦闘型でもない。どちらでもない、ただの欠陥品だ。ただのゴミだ。






……誰か助けて。















オレはまだ死にたくない。










まだ作られて1ヵ月も経ってないのに。




なぜこんな目に遭わなければいけないのだ!?












 ……誰か…助けてよ…。


 








 独りで生きているというのに、オレは助けを求めていた。本当に誰でもよかった。助けてくれるのなら、誰でもよかったんだ。















工場の外から、声がした。













「危ないよー!入っちゃダメだよー!お化け探しなんて、やめよーよ!怒られちゃうよー!」
 すぐ外で聞こえる。工場の敷地内だ。君の声が確かに聞こえる!“リマ”ちゃんだ!もう1人、君と同じ年くらいの男の子の声が聞こえる。オレは慌てて立ち上がり、君の声のする外へと、工場を飛び出した。大人になるまで待とうなんて、この時はそんなことを考えていたことすら、忘れていたのだ。




60-2














助けて!










もう自分がどうすればいいのか分からない!











オレの生きる意味は……!?





オレはもう死ぬしかないの!?

















助けて!








助けて!!





















もう1度、生きる意味を……オレに……
















 オレのいた工場の事務所のドアが開いた瞬間、青い野球帽を被り、黒いランドセルを背負った男の子は、まるで幽霊を見たかのように、悲鳴を上げて全速力で走って行った。オレはそんなことには構わず、君の姿を、目を見開いて探した。しかしもう、工場から君はいなくなっていた。工場の敷地を出て、道路の左右を見ると、赤いランドセルを背負った君が走っていた。その姿はもう既に小さく、遠くの角を曲がって姿を消した。
 追い駆けようと思えば追い駆けられた。手を掴んで工場に連れ込もうと思えば連れ込めた。しかし今の不安定な自分が、君を連れ込んだ程度で収まるはずがない。
 オレは結局、君を追い駆けなかった。ただ君のいなくなった道路をじっと見つめ、逃げて行った君の後ろ姿を思い描きながら、その場に立ち尽くしていた。



60-3









 なぜかオレは酷く傷付いていた。昨晩の傷のことではない。オレに心を与えてくれた君に、背を向けられ逃げられたことが、不安定だったオレにとっては充分な打撃となった。
 君も所詮、ただの人間。いずれ周りの大人たちと同じような、冷たい人間になる。君が大人になったとしても、君はこうやってオレから逃げて行くんだ。オレがアンドロイドだと知れば、君はオレを軽蔑するだろう。君の人生にオレが何度現れても同じこと。オレを避ける。オレを嫌う。オレから逃げる。その繰り返し。
 大体アンドロイドを、それも欠陥品の自分を愛してくれるはずがない。オレは君に心、人格を作られた。オレの心は君と同じ感覚を持っている。意思を持っている。だからオレが君を愛すれば、君もオレを愛してくれる。
……オレは互いに惹かれあうなどと考えていたのだろうか?君に心を作られたからといって、そんなことが起きるはずがないではないか。オレは一体何を期待していたのだろう。  


 オレはアンドロイド。君は人間なのだ。



55-2












なんだ。


生きていても、仕方がないじゃないか。














 小さな生きる希望が、儚く消えた。もうどうだっていい。死んだっていい。生きていても、君に愛される日など来ないのだから……。
 オレはその日、夜の街に繰り出し、リストに載っていない正常で何の罪もないアンドロイドを








60-5








殺した。


























スポンサーサイト
web拍手 by FC2








トラックバック

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
59~ですが詠みやすくて
怖かったです
最初から頑張ろうと思いました

読みやすかったですか!

よかったです^^


そうですよねぇ、
ちょっと怖いですよね(泣)

最初から読んでいただけるなんて、
とても嬉しいです!!!

ちょっと長いので、ゆっくり、少しずつ読んでくださいね☆





プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

ブロマガ購読者向けメールフォーム


検索フォーム
すぴばる
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。