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2013.01.12     カテゴリ:  Duty-本編- 

   58話 帰る場所



私は彼の言葉に首を横に振った。何を言っているのだと、私は目を見開いて固まった。
「オレと一緒にいたら危険だから……ね?分かるでしょ?」
「嫌だ!!!」
 私は唇を噛み、思い切り首を横に振った。
 どうして私と離れようとするのだ?どうして私を1人にしようとするのだ?私は不安と混乱でいっぱいなのに、どうして今までのように支えてくれないのだ?
「……アイツの話、聞いたでしょ?」
 アイツ……政府のアンドロイドのことか?
「オレが狂い出したら……理真ちゃんを殺しちゃうかもしれない」
「いい…。それでもいい!」
 殺すかもしれないと彼に言われているのに、私の口はそれでも構わないと叫んでいた。涙が再び溢れ、頬を伝って零れていく。
「そんなこと……言わないでよ」
 セナの顔が悲しそうに歪んでいった。
「理真ちゃんが死んじゃったら……オレはどうすればいいの?オレの帰る場所は……?そしたら、オレはもう……生きていけないのに」
 取り返しのつかないこんな状況に陥って、私は初めて彼にこんなにも必要とされていたことに気が付いた。
もう……手遅れなのだろうか。
「理真ちゃん、オレの言う通りにして」
「嫌だ!」
 どうすればいいのか……。どうすることが正しいのか。それとも、既に正しい道は通り過ぎてしまっていて、私と彼は、もう間違っている道を突き進むしかないのだろうか……。
 その時、彼が私の頭をくしゃりと撫でた。なぜこんな時に、このようなふざけたことをするのだと内心思った。だが嬉しかった。こんな状況でも、頭を撫でてくれるということは、本当に可愛がってもらえている証拠なのだ。
「理真ちゃん。オレの型名、覚えてる?」
 突然の彼の問いに、私は少し戸惑った。しかし私は静かに頷いて、彼に言った。
「Duty」
「そう。Dutyの意味って、知ってる?」
 ぱっと思い付かず、首を横に振ると彼は私に目線を合わせながら、その意味を教えてくれた。
「Dutyっていうのは、義務っていう意味。責任をもって遂行すべき責務のことなんだよ」
「義務……」
 彼は両手で私の頭を掴むと、私の額に自らの額を寄せた。本当に人間のような皮膚を持った彼の額の感覚を、私の額が感じ取る。彼とくっ付いているからなのか、緊迫した状況にいた私は、少しだけ心が穏やかになるのを感じた。


58-1



「理真ちゃんは、オレの人格と心を作ってくれた。オレに命を吹き込んでくれた。オレにとって理真ちゃんは……どんな人間にも代えられない、大切な……大切な人間。オレは確かに汚い過去を持ってる。たくさんのアンドロイドを殺してきた。だけど、理真ちゃんへの恩は忘れてない。10年間、忘れたことなんてなかった」
 なぜだろう。涙が止まらない。
「オレにとって、理真ちゃんを守ることは義務でもあり、権利でもあるんだ。でも本当は、オレには理真ちゃんを守る権利なんてないのかもしれない。だけど、今のオレにできることは、これしかないから……」
彼の瞳は、今にも涙が零れそうだ。
「1階にはハチコウがいるから、安心して。……オレはここに残るよ。理真ちゃんがまた、汚いアンドロイドの世界に足を踏み入れなくて済むように。……いいね?」
 彼は私の額から離れて再び微笑んだ。
嫌だ。そう言いかけた時、彼がまた囁いた。
「……これは、オレの素敵な義務なんだ」
 そう呟いた彼の声が、静かに私の頭の中に響いた。彼の瞳は、何か固く危険な決心をしたように見えて、私は声も出さず、ただ涙を流していた。
 彼は意志を曲げなかった。しかしここで彼を置いて行ったら、もう彼は私の元には帰って来ないような気がする。
 ……嫌だ!やっぱり嫌だ!彼を置いて行けない!彼はここで死ぬつもりなのだ!
「嫌だ!!一緒に逃げようよ!」
 私は彼の瞳に真剣に訴えた。
ここで、こんな馬鹿馬鹿しい場所で、死んでどうするのだ!まだ……生きなきゃ……。
しかし私の頭の中で、彼の寿命の年数が駆け巡った。
「理真ちゃん……」
 彼の意志が折れてくれたら……。そう私は思っていた。仕方ないと言ってくれることを期待していたのに。
 エレベーターの扉が開いた瞬間だった。
「…ごめんっ」
 彼は骨をも砕きそうなその力で、私の身体をエレベーターの中へと私を勢いよく投げ入れた。尻もちをついた衝撃で、私の瞳から涙が飛び散った。すぐ私は彼を見上げたが、セナは素早く廊下からエレベーターの階数のボタンに手を伸ばし、そして1階のボタンを押して、“閉”のボタンをすぐさま押した。
「……っセ…ナ」


58-2



 尻もちをついた衝撃だろう。私の声は詰まってしまい、言葉を上手く発することができなかった。そんな私を、セナはエレベーターの外から見下ろし、悲しそうな表情をしつつも、微笑んでいた。
「セナ!!!」
 エレベーターの扉が閉じる最後の瞬間、彼の微笑みが安堵の笑みへと変わっていた。


58-3



 天井の電気が、先程の手榴弾での爆発の衝撃で消えてしまったのだろう。
 暗いエレベーターの中で、私は彼から離れてしまったことを自覚し、声を上げて泣いた。







セナ君……。

理真ちゃんが大切だったのは分かるよ?

だけど、どうしてそこまで理真ちゃんに執着してたの……?



理真ちゃんがセナ君の人格形成者っていうことの他に、

まさか、セナ君の“隠したい過去”が関係してるの?


どうなのさ、セナ君。





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いよ。今年もよろしく
お久しぶりです!
明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いしますね!!!

ご無沙汰していて、すみませんでしたww




プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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