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2013.01.07     カテゴリ:  Duty-本編- 

   57話 廊下




 彼は口で手榴弾のピンを抜き取ると、力なくカーペットの上へと落とした。
 その落ちた鈍い音に、同型のアンドロイドと赤毛のアンドロイドは動きを止めた。状況が把握できていない2体のアンドロイドをよそに、セナは会議室のドアへと走り出した。
走って来たセナを見て正気に戻った私は、会議室の中の彼へと手を伸ばした。彼は先程、今の私と同じように手を差し伸べてくれた。だが私は彼を恐れてしまい、自分の手を預けることができなかった。しかし彼は私の差し伸べた手を掴んでくれるはず。彼は私を必要としてくれているはずだから。信じていてくれているはずだから。
 私も彼を信じよう。彼が私を信じてくれるように、必要としてくれるように。
 彼は私を殺さない。彼は私を殺せるはずがない。

彼は私の分身だ。私の心身の一部。
だから私は彼に触れられる。



 血の付いた彼の手が、私の手へと伸びる。あと数センチ。あと少しで彼に触れられる。
「セナ!」
 手が触れた瞬間、彼の手は本当に温かかった。彼に触れた証拠のように、私の手には彼の血が付いた。セナは私の手をしっかりと掴み、そして私を引き寄せて力強く抱きしめた。
 私は初めて彼が温かいと感じた。彼はもう人間と同じなのだと感じた。
「ごめん……セナ」
 彼の胸に子供のように顔を押し付けて、私は泣きながら彼に謝った。謝って済むような問題ではないことくらい分かっている。


57-1



彼がある意味、私に一途でいてくれたというのに、私の方が彼を裏切ろうとしていたのだから。
 なぜ、どこにいるかも分からない私を追い駆けて来れたのだろう。きっと大変だったに違いないのに、私は……。
 聞いたこともない爆発音が会議室の中から聞こえてきた。身体が動かされるほどの爆風が私たちを襲ってきたが、彼が私の盾になってくれたおかげで、私は何の被害も受けなかった。
 壁と天井から白い粉や破片が落ちてくるのが納まると、セナは抱きしめていた私を自分の腕から解放し、そして私の右手を今度は優しく握った。
「早くこっちに来て。子榴弾じゃ、奴らの足止めにしかならない」
 暗い廊下を私とセナは走り出した。煙を吐き出し、静寂に包まれた会議室を背にして。



 エレベーターの前に来て、セナは下りのボタンを勢いよく押した。一方、私は息が乱れ、膝に手をついて呼吸を整えようとしていた。エレベーターの下りのボタンが、緑色の光りを放ち、彼の血のついた頬を照らしている。
 彼は壁に背を預け、銃にマガジンを補充し始めた。その光景が生々しく、自分の手元を見つめる彼の眼差しは戦う瞳になっていた。今まであの古びた工場に住みついていた彼は、本当はとんでもないアンドロイドだったのだ。そして、その彼の人格を作ったのは、私なのだ。そんなことをぼんやり考えていた。
「電気は止まってないみたいだね。……大丈夫。ここのエレベーターは電気が止まったら、軽油に切り替わるから」
 セナは銃をいじることを止めると、それをベルトへと戻し、私に近寄って、私の頭の上に降り積もった爆発による埃を手で払った。こんな危機的状況だというのに、私は昔のことを思い出していた。そう。10年前、私が6歳で彼が造られて間もなかった時のこと。あの頃、再会することなど考えてもいなかったし、ましてや、こんな不幸や危険に共に襲われるなど、考えても、思ってもいなかった。
「本当……何て謝ればいいのか…分からない」
 擦り剥いた私の膝に目を落としたまま、彼は静かに言った。
「…許して」
「何で……今まで話してくれなかったの?」
 そうだ。なぜ彼は私と暮らしていた長い間、私に話してくれなかったのだろう。彼の過去を聞いていたなら、正しく理解できていたはずだ。しかし私は彼ではない、他のアンドロイドから彼の過去を聞かされてしまった。だから私は彼を疑ってしまった。
「嫌われたく……なかったんだ」
 あまりにも単純な答えだった。私が単純だと感じたのは、嫌われたくないという、表面上の意味だけしか感じ取っていなかったから。……嫌われたくないという、その単純な言葉の深い意味など考えている暇も、感じ取る繊細さも、この時の私にはなかった。
「嫌いになんてならないよ。あたし……ちゃんと説明してくれれば……」
 彼の人格は私と接したことによって作られた、私の分身だ。嫌いになれるはずがない。
 彼は私に微笑んで言った。
「理真ちゃんは逃げて」

 囁くような声だった。




読者様、増えてほしいなぁーと思うリンスであります。

自分の頑張り次第でしょうかね……。


読者様ーーーっ!!!!


セナ君と理真ちゃん……


今が踏ん張りどころだよ……








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初めまして、訪問ありがとう御座います^^
小説、ゆっくりになるかも知れませんが、読まさせて戴きます。
イラストも一緒に描けるって良いですよね。物語の内容が分かりやすくてとても良いです。
リンスさんは春から上京ですか。私も鈍行の電車に乗れば一時間と少しなので、東京にはちょくちょく買い物にいきます。
沢山物が溢れていて遊ぶには面白い場所ですが、物騒な所も多いので、気をつけて下さいね^^ノ
来てくださり、ありがとうございます!!
駄文ですが、読んでいただけるなんて嬉しいです!
イラストは苦手なんです……。でも毎回頑張っちゃうんですよねぇ。

はい、上京ですw
4月からの予定です。
田舎と違うので、慣れるまでに時間がかかりそうです(泣)

よろしくお願いしますね☆




プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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