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2012.12.27     カテゴリ:  Duty-本編- 

   54話 罠



 アンドロイドの話を聞いて私は、今までの生活の中でセナに殺されていたかもしれないという恐怖を感じた。セナが私を拾ったのは、殺すためだったのか?自らの狂暴化に拍車をかけた、私に与えられた人格を嫌い、そして私を恨んだ。私との再会までの10年間で、彼は殺人兵器へと変わり、静かに私を殺す機会を見計らっていた。あの優しい笑顔も、10年間の間に身に付けた演技。私を釣るための道具。そう考えると納得できる気がする。セナが私に優しくしていたのは、私を油断させるため。
「あたし、セナにまで裏切られたの……?」
 目の前にいる、このアンドロイドに尋ねても、答えてくれるはずがない。
セナと同じ顔をしたアンドロイドは、冷たい目で私を見下す。
「セナにまで裏切られたら…あたしは何を信じればいいの……?」
 見せまいと我慢していた涙が、下まぶたと言う壁を一気に越えてボロボロと零れ、頬やスカートへと落ちていった。まるであの日のようだ。父と母の火葬の時、叔母から引き取れないと裏切られた日と全く同じだ。私はまたこうやって、馬鹿な人生を繰り返すのだ。
「セナも馬鹿だな……。あたしみたいなの、放って置いても死ぬのに、なんで殺そうとなんてしたのかな」
 泣きながら私は笑っていた。自嘲というのはこういうものかと、心の隅で思った。
「心配するな。オレたちの側に来た以上、お前は安全だ」
 そうだ。いつ暴走するか分からないセナの傍にいるより、このアンドロイドの傍にいた方が安全だ。
 しかし私は安心して良いはずなのに、心臓が鷲掴みされたかのように苦しい。セナに裏切られた虚しさからなのか、それとも……セナを心配する気持ちからなのかは、私本人でも分からない。パニックになっているからかもしれない。冷静さを欠いているからかもしれない。だが私は裏切られたというのに、まだセナの心配をしている。私はこれほどまでに、優しい人間だっただろうか?いや、私は汚い人間だった。自分を裏切った人間を、それでも心配するような人間ではなかった。セナと共に暮らし、セナが私に与えてくれた愛情が、私をそうさせたのだ。だが私を変えてくれたセナの愛情が全て嘘だったとしたら?




 私はもう生きてはいけない。





 扉が開く音がして、私の身体は大きく跳ねた。来た。来たのだ。彼が。
 いつもの茶色の髪は心なしか、怒りにつられて逆立っているように見えた。走って来たのか、彼が会議室の中に入って来たと同時に、冷たい外気が勢いよく流れ込んでくる。目はいつもと同じだったが、私を見つめるにつれて、どんどん細くなっていった。
「約束通り来たよ。……理真ちゃんを返して」
 静かな声だった。私が思っていたほど、彼は慌ててはいなかった。それが余計に悲しかった。私は心のどこかで、彼が焦っているのではと考えていたのだ。
「お前の所に帰るかどうか決めるのは、この女の自由だろう?」
 セナと同じ顔をしたアンドロイドの言葉に、セナは眉間に皺を寄せた。一方私は、助けに来てくれたセナを見つめたまま、泣き声を上げずに泣いていた。ただ涙を流していた。   
私は怯えた目をしていたのだろうか……。私へと視線を移したセナは一瞬凍りついたように目を見開いた。そして先程の私と同じように、絶望の笑みを浮かべた。
「そっか……全部聞いたんだね。オレの過去。……否定はしないよ。全部本当のことだと思うから」
 彼は今にも泣き出しそうな顔をしていた。それはアンドロイドではなく、心のある本当の人間のような表情だった。
「ごめんね……理真ちゃん」
 この表情も嘘なのか。この言葉も嘘なのか。
「お願い。こっちに来て」
 セナは懇願するように私に手を差し伸べてくる。それをセナと同型のアンドロイドは無表情のまま見つめていた。行きたければ行ってしまえ。だが命の保証はしない。そうアンドロイドの目は言っていた。セナについて行ったとしても、このアンドロイドはセナを殺すために襲いかかってくる。それに巻き込まれて死んでもいいのなら、行ってしまえばいい。このアンドロイドは多くを口で語らない。目で訴えてくるのだ。
 私の身体は安全を確保しようと、今必死になっている。しかしその安全策に私の心は反抗している。セナをまだ信じるか。それとも政府のアンドロイドを信じるか。
 ……私には決められない。今までなら迷わずセナの元へ走ることができた。だが私の中で、セナの数々の嘘は、大きな影響をもたらしたようだ。
「……理真ちゃん」
 彼の悲しそうで弱々しい声を聞くと、涙が一層溢れてくる。裏切ったのはセナの方だ。けれど私が今、セナを裏切っているようで心が痛い。
 本当のセナは一体どちらなのか。残虐的行為をしていたセナを想像すると、とても彼には近づけない。







 その時だった。
「何がリマちゃんだ。前ばっか見て、後ろが見えてねぇから、こういうことになんだよ」
 セナの背後に、赤毛のアンドロイドが銃口を向けて立っていた。


54-1

「……なぁ?デストロイド。罠にかかった気分はどうだ?」







わ…罠だよ!セナ君!!!

どうするのさ!!!




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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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