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2012.12.20     カテゴリ:  Duty-本編- 

   53話 裏切り




 Duty No.4202は、どのアンドロイドの争いの場にも居合わせていた。そして全てのアンドロイドを破壊していた。



 ……頭脳型だというのに。



「本部が依頼しているのは感情に異常のあるアンドロイドの破壊だけだった。しかし奴は正常なアンドロイドまでも殺していた」
 人間で言えば、無差別殺人ということか……?信じられない。あのセナが?あの優しいセナが?
セナは絶対にそんなことはしない。アンドロイドであるハチコウとだって、仲良くしているではないか。私は知っている。ハチコウとセナは喧嘩をしていたが、あの大雨が降った日、2人は仲直りをしていた。セナは本当に嬉しそうだった。
 そんなセナが?



 奴は手当たり次第にアンドロイドを殺し、製造番号と型版が刻まれているタグを奪い取っていた。おそらく、奴はタグを手元に貯め、手持ちのタグがリストに載ると、まるでトランプのように選び取り、本部に平然と渡していたのだろう。残りのなかなかリストに載らないタグの多くは、マニアの人間に多額で売りさばいていたようだ。


53-1



 奴は殺す快感にしか、価値を見出せなかったのだ。奴の噂が広まると、奴の残酷さとその戦い方の凄まじさから、“デストロイド”と呼ばれるようになった。



 奴の破壊を試みて、政府から送り込まれた一流アンドロイドも、みな帰っては来なかった。そして数日後には、その一流アンドロイドのタグがインターネットの裏サイト上で、50万で売られていた。
 怒りが浸透した政府は、奴を製造してから5年後、年々エスカレートする奴の破壊命令をオレに出した。
 オレは日本のアンドロイドの中では最後の砦だった。オレに奴の破壊命令を出したということは、政府も相当頭にきていたのだろうな。



 奴がよく現れるという、争いが起きる古いビルに、オレは向かった。そこで見たものは地獄だった。アンドロイド同士で殺し合っていた。タグを本部に差し出し、金を得るためか……?それとも本部が推測した通り、人格形成の時点で異常が発生したからか?
 違う。戦う機能が備え付けられているのだ。アンドロイドの本能として、戦わずにはいられないのだろう。虫の走性と同じ。ガは光りのあるところへと集まる。それと同じだ。アンドロイドは自分たちが意識していなくとも、争いのある場へと集まる本能を持っている。それをアンドロイドたちは制御することができないのだと、オレはその光景を見て思った。
 奴は遠くでオレの顔を見つめていた。涼しい顔をして。戦う情熱ではなく、冷静さが表情から滲み出ているのが感じ取れた。本来ならば、頭脳型は戦闘型に比べ、体力・力の強さ・戦闘全般は極端に劣っている。なのになぜ、これほどまでにも冷静な顔つきの奴が、たった1体で150体も破壊することができたのか、オレには分からなかった。
 オレを目の前にして、奴は戦おうとはしなかった。オレが仕掛けてもただ避けるだけ、逃げるだけだった。
その際、1人の欠陥品のアンドロイドを見つけた。Code No.137。その頃、新型として製造されたアンドロイドだったが、欠陥が発見されてリストにアップされていた。つまり殺してタグを奪えば、金が貰えるということだ。だがオレにはそんなものは関係ない。金などいらない。政府や本部のミスを取り除いて、処分するのがオレの生かされている意味なのだ。Codeという型版のアンドロイドを見つけたからには、処分しなければならない。短時間で破壊する自信はあったが、もう少しで破壊できるというところで、奴に邪魔をされた。後で自分が撃ち殺したのか、刺し殺したのかは分からないが、奴は欠陥品のアンドロイドを担いで、姿を眩ました。



 欠陥のあるアンドロイド……それはきっと、ハチコウのことだ。



 それでもオレは奴の姿を探した。奴に逃げられたと報告するわけにはいかなかった。任せられた仕事は、全うしなければならない。手ぶらの上に、無傷で帰ることはできなかった。その時だった。奴はオレを待っていたかのように再び目の前に現れた。オレはもう本気だった。勢いよく奴に銃を向けた。しかし奴はその知性的な表情を崩すことはなく、ただオレを見つめていた。奴を掴もうと胸倉に手を伸ばすと、奴は後ろへと逃げようとした。
 その時オレは奴のタグを掴み、引き千切った。


53-2




自らのタグをオレに取られたにも関わらず、奴は取り返そうともせず、そのままオレの前から姿を消した。オレは……奴を自らの手で殺し損ねたのだ。


53-3



 タグはアンドロイドにとって、たった1つの存在証明、生きている証拠だ。それを奪い取りさえすれば、あとは奴を直接破壊する必要もなくなる。だからオレは奴がまだ中にいる、そのビル全てを爆破させた。人間にはガス爆発に見えるよう、手の込んだ細工を施した。
 それから奴の消息は途絶えた。



 5年後、ある三流アンドロイドの存在が浮上してきた。狙撃に長けた頭脳型だった。オレと奴の製造者は、その三流アンドロイドを、姿を消すために紛れ込んだ奴だとみた。オレが下手にタグを奪ったのがまずかったのだ。
……オレは奴に利用された。奴は自分を死んだことにしようと、はじめから目論んでいた。



奴自身、既に気付いていたのだ。自分の身体と頭に起きている異変に。



「奴は欠陥品だった」
 その言葉が、私の心に深く突き刺さった。もはや声も発せられなかった。全身がふるえるような感覚に襲われ、それを抑えることで精一杯だった。



 奴は戦闘型アンドロイドとして作られる予定だった。だが奴の頭に入れられたプログラムは頭脳型のものだった。身体は戦闘型、頭は頭脳型。一見2種類のアンドロイドをいいとこ取りしたように見えるが、容量は通常のアンドロイドの倍近くオーバーしていた。それが発覚したのは、つい最近のことだ。しかし本人である奴は、誰よりも早く……製造者よりも早く気付いていた。
 なぜそんな単純な生産のミスを、本部がしたのかは分からない。だがオレにタグを奪われ、死んだということにされていたおかげで、奴は5年間もの間、潜伏することができた。  
製造者は1つだけ、疑問に思ったことがあった。なぜ奴が5年間もの間、息を潜め、何もせずにいられたのか。おそらく奴が5年前、破壊の道に走っていた原因は、欠陥品だったからだろう。しかしなぜその破壊衝動を突然、パタリと止められたのか。
 製造者は偶然にも3、4年前、2つの種類のアンドロイド、戦闘型、頭脳型を組み合わせたらどうなるのか、実験をしていた。つまり奴と同じ状況のアンドロイドをサンプルとして製造していたのだ。だがそれは失敗に終わった。頭は言葉が理解できず、身体は本来のアンドロイドの基本動作とは思えないものになってしまった。そして、そのサンプルは自らの破壊力で自分を破壊した。自滅だったのだ。



「サンプルはそういう結果に終わったにも関わらず、奴はなぜそこまでコントロールできたのか……。奴だけなぜ生き続けることができたのか……未だに分かっていない。コントロールしていたのがお前だと、オレは思っていたのだが、違ったようだな」
「セナは……狂ってなんかいない……」
 セナは狂ってなどいない。欠陥品のはずがない。だって優しいではないか!何でも知っていて、私にいきる楽しさまで教えてくれた!私を助けてくれた!そんな彼のどこが狂っていると言うのだ!?どこが欠陥品だと言うのだ!?
「オレたちはそこが狂っていると言ってるんだ。ただ暴走し、他のアンドロイドをころして楽しんでいるような狂いだったらまだいい。だが奴は暴走したと思えば、すぐに気持ち悪いくらいの冷静さに戻る。狂っていると言わず、何と言えばいいんだ?」
 ……なぜセナは何も言わなかったのだ?なぜ私に一言も……。
「お前が奴の傍にいるのは危ない。これで奴がどれだけ危険なアンドロイドか理解できただろう?」
 私と一緒にいたセナは……偽りのセナだったのだろうか。本当は殺しや破壊に快楽を見出し、金を稼ぐことにしか目を向けられない……アンドロイドだったのだろうか?



 私はセナに騙されていたのだ……。



「おそらく奴はこれ以上、狂気の切り替えはできない。サンプルのように暴走してしまえば、アンドロイドだろうと人間だろうと関係なく殺すだろう。勿論、その相手がお前であってもな。お前は奴に殺されてもいいと考えているかもしれないが、人間が殺されたとなれば、本部も政府も立場がなくなる。人間の犠牲者を出すわけにはいかない。だからオレたちは奴を殺す」
 殺す……セナを殺す……
 この男は……セナを殺す……
「奴がこれ以上、狂気の切り替えができないと推測するには理由がある。アンドロイドがメンテナンスを受けずに機能できる期間は、長くて10年だ。」
「…え?」
 10年……?セナは私と出会って…もう10年以上経っているではないか……。
「ただでさえ、容量オーバーしている奴が欠陥品ながらも正常に機能するには、もう限界だ。近いうちに奴は暴走する」
 ……10年前、セナの人格を形成したのは私だ。それがもしかしたら、セナの人格に異常をきたしてしまったのかもしれない。セナが狂っているというのなら、私もおそらく狂っている。彼が欠陥品だから狂っている?いや、少なからず私が彼に与えた人格も、何らかの形で暴走に影響を及ぼしたはずだ。



 セナ。セナは人格を与えた私を恨んでたの?もしかして、私を殺すつもりだったの?そのために私を住まわせてたの?そのために……私を騙して、何も言わなかったの?初めて出会えた人間が私でよかった、もう1度出会えてよかったと、言っていたではないか。セナは……嘘しかついていなかったのではないか。












セナが……





セナという……アンドロイドが…







もうよく分からない。













何が嘘で何が本当だったのか。



それとも全て嘘だったのか。











あまりの嘘の多さに、私は彼を


信じられなくなった。














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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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