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2012.12.16     カテゴリ:  Duty-本編- 

   52話 製造者



 10年以上前だ。その頃、日本にはまだアンドロイドは存在しなかった。それに対して、欧米諸国は次々とアンドロイドを生産していた。何のためか分かるか?終えたはずの戦争に終止符を打つことができない諸国が、世界の批判を避けつつ、戦争を続けるためだ。そうすれば自然と国家防衛のため、アンドロイドを作り出す国が現れる。
 アンドロイドは防衛・軍事のために作られた。そして人の命を奪わない、新しい戦争が生まれた。失うものは金だけ。日本も当然、その争いを恐れた。だが、すぐにアンドロイドを作り出すという判断は、下すことができなかった。アンドロイド、人工人間。人間をクローンのように生産することに抵抗があったからだ。
そんな迷いにはどの国も陥っていた。しかし作らなければ、国民の安全を充分に保障することはできない。世界全体で、アンドロイドが人間に手を下すという行為は禁じられていた。しかし相手は作られたアンドロイド。プログラムで制御されている。何を仕出かすか分からない。常にどんな事態にも備えなければならなかった。
日本は最高の安全を確保したいがために、アンドロイドを生産せざるを得なかった。だが日本にはアンドロイド製造に関する知識を持っている人間は、誰1人としていなかった。留学させて他国で学ばせることもできない。そんなことをさせてくれる国などどこにもあるはずがないだろう?日本はそれなりに発展していて、手先の器用な人種だ。もし技術を越えられてしまえば、いつ殺人兵器のようなアンドロイドが送り込まれて来るか分からない。
“何か”を参考にすることはできない。日本は他国と同じように、独自でアンドロイドを開発する道しか残されてはいなかった。そのためには税金、金がかかる。そして1番に時間と労力がかかる。ただの工学だけではない。生物学、そして心理学。あらゆる知識が必要だった。どんなに有能な科学者も、そこまでの発想力はなかったのだ。
「苦し紛れで政府が見つけ出したのは、ただの男子高校生だった」
「だ……男子高生!?」
 私は目を見開いて男に尋ねた。
 ごく普通の男子高校生だった。と言っても、優秀だった。彼は同じ毎日を繰り返す生活に、嫌気とつまらなさを感じていた。


52-1



彼は思い付くままにアンドロイドの構造を考えた。自分の考えたアンドロイドを製造することが、不可能ではないということを彼は知ると、政府にすぐに申し出た。知識と可能性がある人材ならば、喉から手が出るほど欲しがっていた政府は、まだ未成年の彼に莫大な金を預けた。
 それは面白いように成功した。彼が基盤として作ったアンドロイドは2種類。1つは戦闘型。戦場で戦い、傷の回復能力・再生能力に長け、より過酷な場所でも機能するよう丈夫に作られている。もう1つは頭脳型。計画性、計算、より多くの知識を持ち、そして吸収することができる。


52-2



本来ならば、彼は2種類を1個体として生産したかった。
 だができなかった。



「……どうしてですか……?」
「容量が間に合わなかった。人間と同じ体格、同じ大きさの脳のプログラムに2つを詰め込むことはできなかった」



 容量オーバーしてしまえば制御機能が麻痺し、暴走しかねない。だから彼は2種類のアンドロイドを生産した。10年経った今もその基本形は崩さず、彼は多くのアンドロイドを生産し続けている。
「その中で日本政府が最も評価したのが、Duty」
 その型版を聞いて、私ははっとした。セナだ。……セナと同じだ。



 奴もオレも、そのDutyの中の1体のアンドロイドとして生産された。その後、アンドロイドとして機能するか検査を行った際、奴はDutyという型版のわりに性能が悪かった。数多くの仕事を任せることはできないと考えた政府は、奴を一般社会の多くのアンドロイドの中の1体として放出した。アンドロイドには生産された後、2つの道がある。高性能、特に優秀と評価されれば政府のもとに直接雇われ、主に国外の紛争の対処にあたる。その他のアンドロイドは全て社会に放出される。日本の国土が何か危機的状況に陥った時、情報収集の柱となり、もしもの場合にはすぐに動く駒として扱う。
 オレは政府のもとに残り、奴は社会へと出て行った。いや、追い出された。
 今では日本のアンドロイドは世界でも有名になっている。その1つの理由が人格形成だった。日本のアンドロイドの大きな特徴の1つ、そして利点でもあり、欠点でもあった。それぞれのアンドロイドの人格、性格が異なれば、人間の中に紛れ込むことは容易にできる。しかしその個性がある人格を形成する材料に、問題があったのだ。
 1つ1つ、人格プログラムを作るのは困難だった。そして何より、作ったものでは性格が偏ってしまう。完璧を好んだ製造者は、人間に目を付けた。
 人間と関わらせ、その人間の感情のつくり、感情の動きをアンドロイドの中に設定させる。そうすれば、十人十色に近いアンドロイドが生産できる。そのため、アンドロイド生産本部はアンドロイドを完成させると、感情の設定に関するプログラムには一切手を触れず、一部のアンドロイド、つまり政府のもとに残るアンドロイド以外は全て、感情のないまま、社会に放出したのだ。社会には人間が多くいる。その人間たちは利用しようという考えだった。
 全ては順調に見えた。しかし大きな問題が起きた。奴が社会に出て5ヵ月が経った頃だった。社会に放出されたアンドロイド同士の争いが勃発し始めたのだ。本部はアンドロイドの人格形成の時点で、人間から酷い扱いをされたことから異常をきたしたのだろうと考えた。それは治まるどころか、時が経つにつれて規模が拡大していった。その度にアンドロイドが何十体も破壊された。政府は対策を打ちし、人格形成の時点で異常が発生したと思われるアンドロイドの型と製造番号をピックアップさせ、リストにして社会全体にいる正常なアンドロイドへとばら撒いた。そのリストに型名が載っているアンドロイドを破壊し、タグを本部に渡せば報酬をやる。そういった仕事を、政府のもとで働くことに弾かれた低性能アンドロイドに与えたのだ。
 アンドロイド一体を製造するための費用も簡単に汲めんできるような額ではない。しかし感情のコントロールができない、危害を加えるかも分からないようなアンドロイドを人間社会でうろつかせ、人間の傍で争いをさせるというのはあまりにも危険だった。
……仕方なかったのだ。



 ある時、予想もしていなかった情報が、アンドロイド製造本部へと入ってきた。社会に放出されたアンドロイドが、50体の正常なアンドロイドをたった1体で1度に破壊したというのだ。それはリストに載るべき、人格形成時点で異常をきたしたアンドロイドという域を越えていた。狂っている。最初から壊れている。みな、そう思った。しかしアンドロイドの製造過程では、ミスが起きることは絶対にない。何人もの監視員の目を潜り抜け、検査をも正常に通過したのだ。そんな欠陥品のアンドロイドが流出するはずがないのだ……。



「それが、お前がセナと言っていた頭脳型Duty No.4202だ」
「…せ…セナが?」




52-3



 セナが……あのセナが、1度に50体ものアンドロイドを破壊しただと……?



52-4










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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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