アクセスカウンター


お知らせ
最新話→77話 生命と命←NEW! リンスのつぶやき→は、は、は…春休み!


Dutyバナー


 全2ページ

--.--.--     カテゴリ:  スポンサー広告 

   スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

2015.02.26     カテゴリ:  Duty-本編- 

   最終話 Duty


 冷たい風が吹き渡る河川敷で、私は静かに芝生の上に座り、眼下の大きな川を見つめていた。
 一人で新鮮な空気を吸いに行くと言ったら、夏美もハチコウも心配していたが何とか説得した。水面が西日を反射させ輝いている。空はオレンジと紫のグラデーションの夕焼けが広がっていた。

目を閉じ、大きく空気を吸う。

 ここは私とセナが10年前に初めて出会った河川敷だ。彼は6歳の私とここで共に遊び、私によって人格が形成された。彼と私の強い結びつきの原点だ。

 どうしてここに来ようと思ったのか……。
 川の向こう岸は大きなビルが立ち並ぶ都心へと繋がっている。そのビルまでもがオレンジの光に包まれていた。
「セナ……」
 彼の名前を読んでみる。呼んでいなければ、彼が過去の人になってしまいそうな気がした。
「セナ……」
 彼に合った綺麗な名前だ。呼んだだけで彼の笑顔が浮かんでくる。
 ハチコウはセナが再び作られる可能性もあると言っていた。しかし、そう思っても彼の存在がすべて消えてしまった今は、悲しくて悲しくて耐えられない。
「セナ……」
 膝を抱えて涙を流す。辛い。セナがいない日常を送れるはずがない。
世界は残酷だ。不幸を平等に与えない。苦しむ人はいつも決まっていた。私は世の中の不条理を知りすぎた。だからといって、悔いたから元に戻れるというわけではない。
 ここで終わるのだ。この綺麗な夕陽が沈んだら、私とセナの思い出は過去のものになり、私はこの世界と向き合いながら生きて行かなければならない。父と母の死に、セナの死に、向き合わなければいけない。けれどセナと過ごした日々によって、私は確かに強くなれた。私は生きなければならない。何があっても生き続けることが、私の義務なのだ。




79-1







 冷たい風が吹き渡る河川敷で、ランドセルを芝生の上に投げ捨てて、オレと君は夢中で遊んでいた。しかし日は西へ傾いて夕陽へと変わり、空はオレンジと紫のグラデーションへと移り変わっていく。もうすぐ夜がくる。
「ねぇ、もう帰りな」
 切り出したくない話を自分から切り出した。
「やだ! まだ遊ぶ!」
「でも、もう夜になっちゃうよ? お父さんもお母さんも心配するよ?」
「嫌だ! まだお兄ちゃんと遊ぶ!」
 君は背を向けて一人で遊び始める。
「……ね? 家まで送ってあげるから……ね?」
「じゃ、たかいたかいして」
「え?」
 突然の要求に目を点にする。
「パパ、もうあたしが重いからできないって言うの。だからお兄ちゃんやってよ!」
「たかいたかい?」
 君は小さな両手を向けて、抱っこしてと促してくる。戸惑いながら震える手で君の両脇に手を入れる。まだ幼い君の身体の中に、どれだけの未来が詰まっているんだろう。そう思いながら持ち上げた。
「わっ! すごーい!!」
 大きく喜ぶ君を見て、もっと高く上げてあげようと心が働く。もっと喜んでもらおうと努力する。君の笑顔を見て、伝染するように笑みがこぼれる。
「すごーい! たかいよ!」
 二つに結った綺麗な髪が揺れる。喜んで笑う君を見て、君が……君のことが大好きになった。
 冷たい風が吹き、はっと我に返って君を静かに地面へと下ろした。
「ほら、帰ろう?」
「うん!」
 ランドセルを背負った君を確認して、河川敷から歩き出す。すると右手に温かいものが入り込んできた。自分の手に視線を落とすと、君の小さな手が滑りこんでいて、隣には君の笑顔があった。
「手! 繋ぐの!」
 機嫌がよくなった君は、嬉しそうにオレの手を握りしめながら笑っていた。



 君を家へと送り届けて、再び君と遊んだ河川敷を歩いていた。夕陽はビルとビルの谷間へと隠れつつも、まだ美しい光を放っていた。ポケットに手を入れ、猫背で歩いていた背中を伸ばす。目を閉じて深く息を吸い、大きく吐き出す。
 社会も捨てたものじゃないと思った。だってあんなに純粋な子がいるじゃないか。この世界はもっともっときれいになれる。空を見上げて再び目を閉じ、にっこりと笑った。






君に出会えてよかった。







次はいつ会えるかな?









明日はどんな素敵なことがあるんだろう。

79-2







 そう思いながら、彼は夕日へと向かって歩いて行った。彼の人生に多くの災難が襲い掛かること。また、たくさんの幸せが訪れること。そして、彼女と10年後に再会することなど、知りもしないまま。





Duty










END












長い間、小説『Duty』を読んでいただき、本当にありがとうございました。
原稿を完結させてから、みなさんにお見せするまでに、2年もの月日がかかってしまいました。

『Duty』の投稿を開始してから3年。
この小説を通して、たくさんの方々に出会いました。
また、生活の中での悩みや相談にのってくださり、私はこの小説を通してみなさんと繋がることで、大きく成長することができました。



本当にありがとうございました。



今、正直とても厳しい環境に置かれています。
ですが、皮肉なことに、厳しい環境下の中にいる今、
創作意欲は戻りつつあります。


現在、日常生活を送ることさえも困難な状況にありますが、
また、信じることのできる人々に出会い、新しい人間関係を構築していければいいな…と思っております。


再び創作することで、少しでも苦しみを和らげながら
これからも頑張っていきたいと思っています。

読者の皆様、本当に、本当に、ありがとうございました。





byリンス











スポンサーサイト
web拍手 by FC2


プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

ブロマガ購読者向けメールフォーム


検索フォーム
すぴばる
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。