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2014.01.31     カテゴリ:  Duty-本編- 

   76話 翻弄




 ビルの中は、野次馬の中で見た時と同じく、大理石は黒ずみ、ガラスの破片が散乱していた。そして夕日の優しい光りが差し込んでいて、散乱しているガラスはきらきらと水面のように光っていた。
「セナ!」
 壁に寄りかかっているセナへと向かって、大声で叫んだ。ローファーの底から、ガラスを踏みしめる音が聞こえてくるだけで、セナは返事をしない。
「セナ!!!」
 セナへと駆け寄って行く。その時、床に倒れた物体が目に入り、私は思わず固まった。それは先程私を騙し、セナのふりをしていた政府のアンドロイドだった。額には銃弾が貫かれたような跡があり、そこから血が流れ出している。目は開いたままだった。
 怖くなって、自分の着ている制服の赤いリボンを右手でぎゅっとつかみ、静かにセナへと歩み出した。セナは政府のアンドロイドを壊したのだと、この状況を見て理解できた。
「セナ、早く帰ろうよ」
 壁に寄りかかって俯いているセナの正面へと来て、彼の様子がおかしいことに気がついた。
「せ……な」
 彼は身体中血だらけだった。それが返り血なのか、自らの血なのか、分からないほどに。頬には無数の切り傷があり、すすで汚れ、額からは血が流れていた。床には這いつくばったような血痕もある。
「……セナ?」
 もう一度彼の名前を呼ぶが、彼は何の反応も示さない。
「セナ!!!」
 涙が溢れてくる。私はなぜ泣いているのだ? セナは、死んでないのに。死ぬはずがない。だって彼はアンドロイドなのだから。
 彼の腕がだらりと力なく、彼の身体から大理石の上に零れ落ちた。


76-2



 言葉が出なかった。ただ、ただ分かるのは、目の前にいる彼が、もう既に、生きてはいないということだけ……。
「おい! 君、入るな!」
 ビルの入口で、ついにハチコウは警察官を押し退けて、ビルの中へと入って来た。それに続こうと、他の野次馬たちが一気に中を覗こうとする。警察官はハチコウを目で追うだけで、追い駆けては来なかった。
「理真!!!」
 エントランスを横切り、私の隣へと全速力で走って来たハチコウは、私がセナの隣で固まっていることに気づいた。ハチコウもセナも、同じアンドロイドだ。セナが生きてはいないことなど、すぐに分かっただろう。しかしハチコウもまた、言葉を失っているようだった。
 夕日がセナの茶色い髪を明るく照らし、ビルの中へと入り込んできた風は、彼の髪を優しく揺らした。
 信じられない。だって、さっきまで私と一緒に話していたではないか。昨日まで私と一緒に……。
「行くぞ理真」
 ハチコウはセナの隣いる私の腕を強引につかみ、信じられないことを口にした。
「ここから出るぞ」
 なぜそんなことが言えるのか。セナを、置いて行くというのか?
「セナ……セナは?」
「もう死んでる」
「違うよ。死んでなんかないよ」
 涙がぽろぽろと流れだす。もう耐えられないと言うように表情が崩れ、声を上げて泣きながら、ハチコウに叫んだ。
「セナも連れて行く。セナは死んでなんかない!」
 アンドロイドなのだから、死ぬはずがない。だって、セナは私に傷が癒えるところを見せてくれた。彼の頬の傷も、額の傷も、もうすぐ塞がる。そう信じて疑わないはずなのに、なぜ私は泣いているのか。
 涙で溢れた私の目には、ハチコウの表情を捉えることはできなかったが、彼の私をつかむ手に力が入ったことで、彼がどんな表情をしているのか、なんとなく想像できた。
「セナは死んだんだよ!アンドロイドは、死んだら元には戻らないんだよ!」
 死んだらもう元には戻らない。その言葉が頭の中を何度も駆け巡る。
 セナがいなくなったら……私はもう。
「セナがいなくなったら、もう……生きていけないよ」
 ハチコウの手を振り払おうと、必死にもがくが、ハチコウは私を離さない。
「やだ! いやだ!!」
 自分でも聞いたことのない悲鳴が、エントランスの中に響き渡る。
「理真!!!」
 もう何が何だか分からない。どうしてセナが死んでしまったのだ?絶対に死んだりしたいと思っていた、あのセナが……。
 どうしてみんな死んでしまうのだ? お父さんも、お母さんも……セナも。
 冷たいガラスの破片が散乱している床に、私は座り込んだ。もうどうすればいいのか分からない。セナがいなくなってしまった今、私はどうすればいいのだ?
「理真! 立て! 急いでここから出るぞ!」
「……ここにいる」
 うなだれて、静かに言った。
「何言ってんだ! 見ろ! 政府のアンドロイドが死んでる! こいつは政府No.1だ! いずれあの人が来る!!!」
 少し離れたエントランスの中心辺りに横たわっている、セナと同型のアンドロイドを指差して、ハチコウは私に叫んだ。けれど私にはハチコウの言う、“あの人”が誰なのか分からない。どんな“あの人”でも、今の私にとってセナ以上の人はいない。
「行かない……」
「お前の目の前で死んでるのは、人間じゃない。……アンドロイドなんだよ」
 ハチコウは私の頭上から、冷たく言い放った。
「人間のお前は、ただの人工的に造られた物体の死に、翻弄されちゃいけない」
 その言葉に驚いて、静かにハチコウを見上げた。ハチコウの表情は怒っているようにも、悲しんでいるようにも見て取れた。


76-1




「オレたちアンドロイドは、本当は生きても死んでもいない。ただ始動して、停止しただけ。オレたちの死なんて、軽いものなんだよ。そんなものに、騙されるな」
 ハチコウはそれ以上、何も言わなかった。ただ私から視線を逸らして、眉間に皺を寄せ、唇を噛んでいるだけだった。ふとビルの入口から、大勢の男たちが入って来た。簡単に入って来ることはできないはずの、このビル内に、どうしていとも簡単に入ることができたのか。大勢の男たちの中心には、背広を着た、青白い顔の若い男が立っていた。彼らに取り囲まれるように、男たちの中にいる。しかし青白い顔をした男だけがこちらへと向かって来た。その男にハチコウが気付いた瞬間、ハチコウは目を見開いて固まった。
 青白い顔の男は、彼らアンドロイドの製造者・フジオカだった。






みなさん、お待たせいたしました

「Duty」復活です。


理真を、最後まで見届けてやってください


私も最後まで、頑張ります!



   Byリンス





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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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