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2013.01.30     カテゴリ:  Duty-本編- 

   59話 “リマ”








 誰もいない、白煙が立ち込める暗い廊下で、彼は独りきりになった。





あの頃と同じだ。






そう思った瞬間、一気に悲しみが込み上げてきて、思わず彼女の名前を口にした。
「……理真ちゃん」




“リマ”





 その名前の、たった1人の少女のためだけに、彼は生きてきた……



















 小さい君は、開けた家の扉に小さな身体を半分隠して、オレに手を振り続ける。もう家の中に入ればいいのに、君はその澄んだ眼差しでずっとオレを見つめていた。


59-1



まるでオレが人間ではないことを見抜いているようだった。
「リマー?帰って来てたの?遅かったじゃない」
 家の中から女性の声がして、身体が強張った。
「うん!遊んでたの!」
 無邪気で幼い君は、もうオレの存在を忘れてしまったかのように、躊躇なく家の中へと入って行った。しばらくして、鍵を掛けた際に聞こえる金属音がした。突然襲う喪失感と孤独。独りで生きていかなければならないというのに、オレはまだ君のことを考えていた。
君にもう1度会いたい。空は夕焼けから夜の闇へと移り変わろうとしていく。オレンジと深い青が広がる冷たい空の下で、オレは君の家の前でしばらく待ち続けた。……君がもう1度、家の外に出て来てくれるのではないかと思ったのだ。しかし君は姿を現さなかった。その時、小さいながらも、初めて絶望を味わった。





“寂しい”






ふと自分に心が生まれていることに気が付いた。先程までは何を見ても、何も感じなかったはずなのに、今は寂しいとさえ感じる。君と出会って、一緒に遊んだ拍子に心が作られたようだ。不思議と子供によって作られてしまったという焦りは全く感じなかった。
一気に世界の色彩が捉えられたような気がした。こんな感覚で君は世界を見ていたんだ……。あの笑顔を持った、君と同じ感覚を得られたのだと思うと嬉しかった。子供と同じ感覚を得たら、これから生きていく上で支障がでることは間違いなかった。それでも嬉しかったのだ。
オレは君にもう1度会いたくて、あの笑顔が見たくて堪らなかった。しかしアンドロイドである自分が、特定の人間の人生に2度も現れようなことをしてはいけない。感情と作られた頭脳がぶつかり合う。
その時だった。ある考えが頭をよぎった。
君が大人になって、オレのことを忘れてしまった時に、君にまた会いに来ればいいのだと。
 



 そう。アンドロイドということを隠して……。





人間の男として、君に近づこう。






59-2






いい考えだと思った。これから生きていく、過酷な人生に希望が持てる。どんなに汚いことをしてもオレは必ず生きよう。オレは生きて、もっと人間らしくなって金を貯めて、君が大人になったら君に会いに行こう。



 今思えば、おかしな考えだった。




59-3












 小さな希望を抱えて、オレは君の住んでいる家の近く、500メートルも離れていないところにある、廃墟となった工場に住みつくことにした。単に君を身近に感じていたかっただけ……。











 ある夜、アンドロイド製造本部からもらったリストにある、欠陥品アンドロイドの破壊の仕事をするために、そのアンドロイドが潜伏しているという場所に向かう途中だった。







 それは突然起きた。









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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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