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2012.12.31     カテゴリ:  Duty-本編- 

   55話 3体のアンドロイド




 私の心臓は止まった。それは目の前の光景に撲殺されたかのようだった。セナの背後には白目がちで、頭の悪そうな赤毛の男が銃を持って立っていた。銃口を一直線にセナの後頭部へと向けている。その銃はあまり見慣れない、シルバー仕様のもので、一見小道具かとさえ思う。しかし今の状況で小道具を持ち出すなどありえない。
 どうせこの赤毛で白目がちの男もアンドロイドなのだ。アンドロイドなら銃を所持していて当然だ。セナと同じように。
「手を上げろ」
「……手を上げたって、どうせ撃つんでしょ?上げたって、無駄じゃん」
 セナは銃口を向けられているにも関わらず、全く動揺してはいない。瞳だけを左へと寄せ、後ろの気配に溜息をついた。セナと同型の、あの政府のアンドロイドは、セナと同様少しも表情を変えてはいない。この空間は、奇妙なアンドロイドが3体もいるせいか、吐き気を催すような空気が張り詰めている。心臓が早鐘を打つ。首の頸動脈まで大きく脈動し、視界がそれに合わせて揺れる。
「理真ちゃんだけは返してよ。理真ちゃんは何も関係ない。巻き込まないでよ」
 セナは目の前にいる、自分と同型のアンドロイドに言った。
「返せばどうせお前はまた逃げるんだろう?」
「じゃ、返してくれないの?それ、オレが心をこめて一生懸命育てた人間なの。お前らに利用させるために傍にいさせたわけでもないし、育てたわけでもない。この子に関わらないでくれるかなぁ」
 セナの口調は、こんなものだっただろうか。これほどまでに荒々しく、恐ろしい口調だっただろうか……。
「お前はなぜこんな人間を傍に置いてたんだ?指令塔の役割も果たせない、ましてやお前の欠如している能力を補うこともできない、こんな人間を、なぜ傍にいさせた?」
 セナと同型のアンドロイドは、私の一番恐れていた質問をセナに投げかける。今、目の前にいる目つきの悪い彼が本性のセナならば、彼の本心が必ず返ってくる。聞きたくない。人格を与えた私を殺すためだったなど、聞きたくない。


―――お願いだから、裏切らないで……。



 これほどまでに悲しい願いがあるだろうか。
私はセナに心を開いていた。それは自分でも驚いたほどで、あれほどまでに仲が良くなれるなんて、思ってもいなかった。


55-1




55-2



アンドロイドとはいえ、やっと心を開ける家族同様の人に出会えたはずだったのに、私は裏切られてしまった。こんなことになってしまうのなら、セナなんかに助けを求めるより、あの日、父と母の火葬を終えた日、外に飛び出さなければよかったのだ。まだ、孤独である方が私は救われていたのだ。
「この子はオレの人格形成者だ」
 嘘ではない。彼はまだ事実を口にしている。
「何?」
 背後にいる赤毛のアンドロイドが、銃を持つ腕を少し揺らした。
「……なんだ。お前にとってこの人間の価値は、そんなものだったのか」
 セナと同じ顔をしたアンドロイドはつまらなそうな声を上げ、奇妙に口角を上げて笑った。
「ようするに、お前はこの人間に人格を形成されたことを恨んでたっていうわけか。この人間でなければ、お前はもっとましな人生を歩めただろうしな。お前が破壊に快楽を見出したのも、この人間が人格を形成したからだろう?だからお前は、この人間を自分の手で殺すために傍に置いた。」
 やはりセナの人生をめちゃくちゃにしたのは、私だったのか。だからセナは私を殺すために……。結局、私の価値は殺されることでしかなかったのか。それなら、最初から私に価値がなかったことと同じだ。
「何、馬鹿なこと言ってるの?」
 セナは私の存在を気にしているのか、事実を隠し通そうとする。
「他には考えられない。そうでなければお前がこの人間を傍に置いてもメリットがない」
「デストロイドはメリットどうのこうので行動するって考え方自体、お前ら間違ってるんだよ」
「……どういうことだ?」
「頭固いね。お前たち」と言いながら、セナは目の前と背後にいる2体のアンドロイドを鼻で笑った。私にはセナが何を考えているのか分からない。あれほど一緒にいたというのに……。
目の前の同型のアンドロイドに向いていた彼の瞳が、静かに私へと動いた。その時、私は今から裏切られるのだなと思った。
「お前らみたいに、製造者にひれ伏すような意味のないことは、オレはしない。この子はオレに人格を与えてくれた、大切な人間。オレが全てを尽くして守るに値する人間。この世の中の不条理から、オレはこの子を守りたかっただけ」
 その言葉に私は目を見開いて固まった。裏切りの言葉ではない。彼はまだ嘘を?
「オレが付き従うのは製造者じゃない。オレを造り出し、全てを与えてくれたのはこの子だ。銃弾が飛び交う中、血を浴び、地面を這って守るべき人間。この子のためなら、オレは死んだって構わない。この子のために死ぬのがオレの本望だ」
 2体のアンドロイドは何も口にしなかった。セナをじっと見つめ、人工的な目はなぜか揺れていた。
「お前ら、自分が何をしたか分かってる?」
 鋭い瞳が2体のアンドロイドへと向く。私はこんな彼を知らない。こんな姿の彼は……知らない。
「オレが一生懸命この子を幸せにしようとしてたのに、汚ねぇ裏世界の不幸にまた引きずり込みやがって……そんなにオレを殺したければ、真っ向から殺しに来ればよかったものを、お前らは利用するものを間違った。理真ちゃんを利用した罪は重いよ」
 私の気のせいかは分からない。赤毛のアンドロイドがセナの後頭部へと向けている銃口が、恐怖からか震え始めたのだ。狙いが定まらない。セナに威圧されているのだ。
「もう、この戦闘能力は死ぬまで使わないつもりだった。だけど理真ちゃんを守るためなら、5年前の再現になったとしても、厭うつもりなんてない」




 もはや目の前にいる男はセナではない。



「お前らはオレを本気で怒らせた」



 もう彼はセナではない。






 彼は……デストロイドだ。





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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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