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2012.04.29     カテゴリ:  Duty-本編- 

   30話 女神





「ハチコウ、これから全部武器はハチコウのとこに置かせてもらってもいい?」
「何言い出すんだよ!普通に考えてアパートよりここの方が広いだろ!」
「いやぁ。理真ちゃんがいるし、危ないでしょ?だからよろしく。」
 そう言いながら工場の中まで車を入れ、武器を次々とトランクに積んでいくセナ。その間にハチコウは鍵の掛けられていない事務所のドアをそっと、慎重に開けようとした。
「何ビビってるの?誰もいないって。」
「分からねぇだろ?誰かいたらどうすんだよ。あっ!手榴弾は止めろ!アパート爆発させる気か!?ただでさえ大家さんに、いっつも同じ服着てるから不潔そうだって嫌われてるのに、口も聞いてもらえなくなるだろ!」
「大丈夫だよ。爆発したら大家さん諸共吹っ飛ぶから。…何ハチコウ。そうやってオレに話しかけてさ。ドア開けるのが怖いの?」
 手榴弾の入った木箱をトランクに入れながら、セナがニヤリと笑う。
「ちげぇよ。」
「ふーん。じゃ開けたら?」
「開けてやるよ。ホラ。」
 と言ってハチコウは開けたドアの中に首を突っ込み、そのままの勢いで目を丸くしてドアを閉めてしまった。
「だっ…誰かいたぁ。」
「え゛っ!?誰かって誰!?」
「分かんねぇよ。たっ…立ってたぞ!自分の目で確かめろよ!」
「い…嫌だ!オレまだ死にたくないもん!」
 パニックに陥る2人は一旦ドアへと近づいた。正午の蒸し暑さが余計に緊張感を誘う。
「ハチコウ、行って。」
「何でだよ!お前の家だろ!」
「違う!住み着いてるだけだよ!それにハチコウ!オレはお前を助けてあげたんだよ!?その恩をお前は仇で返すのか!?」
「こんな時にそんなの持ち出すなんて、お前は本当に最低だ!」
 そしてパニックからケンカへと発展する。
「ハチコウ!行け!お前は何のためにオレのハチコウと名乗っているんだ!」
「誰もお前のハチコウだなんて名乗りたくもねぇし、名乗ったこともねぇよ。…行けばいいんだな。次はお前が行けよ。」
「行く行く。」
 ハチコウはドアを開けて頭を一瞬入れたが、中に体を入れることはなく、また戻って来てドアを閉めてしまった。
「なんで行かないの!自分で行くって言ったでしょ!」
 この男は自分を棚に上げて人のことばかり責める。
「ゆ…有里香だ!」
「うわっ!」
 小声で言ったハチコウに対して、セナは大声で叫ぶと車の中へと逃げて行った。
「ハチコウ!何とかして!オレ気まずくて顔も合わせられないよ~!」
 後部座席で寝転がってのた打ち回るセナに、ハチコウは冷たく言った。
「オレだって気まずいっつーの。オレ、昔有里香のブラジャー被ってたら往復ビンタされたんだぜ?」
「オレに比べたらそんなのマシだよぉ!」
「…だな。オレはまた往復ビンタで済むかもしれないけど、お前は確実に殺されるな。」
 セナが彼女と別れたことを知っているハチコウは、軽くだが彼に同情した。有里香とハチコウは、理真とハチコウのようにセナを通して仲良くなったのだ。しかしハチコウの悪戯の度が過ぎて、有里香はハチコウと口を利こうとはしなくなってしまった。
 ハチコウは再びドアを少し開け、頭を入れた。その間にセナは車から出て、ドアへと歩み寄る。
「あぁ…。もうオレおしっこチビりそうだよ。」
 セナはそんなことを言うが、勿論チビるはずがない。ハチコウはドアから頭をそっと抜いて、セナを見上げた。
「有里香じゃない。」
「え。」
「超美人な女神みたいな女がいる!」
 それを聞いたセナは目を丸くして、ドアノブに食らいついた。
「どけ!ハチコウ!」
 彼は美人と聞いただけでは、ハチコウを押し退けたりはしなかっただろう。しかし女神という言葉が彼の好奇心に拍車をかけた。
「オレ、今まで頑張って人助けしてきたから、女神様がご褒美をくれたんだ!」
「お前みたいな最低な男に、女神様がご褒美なんてくれるはずないだろ!」
「分かってるんだよ!オレがどれだけ綺麗な心と愛を持っているのか!」
 彼はご褒美と言っているが、ご褒美とは限らない。彼に妥当なのは天罰だろう。ドアを思い切り開け、セナは目を輝かせながら中へと飛び込んだ。そこには制服を着た女神がいた。
「あぁ、悪い。鍵が開いてたから中に入った。…さっきから何をしてるんだ?うるさいぞ。」
「な…なっちゃん!?」
 そこにいたのは夏実だった。


30-1




驚いたセナは必死にハチコウに出て行けと目で合図する。
「誰なんだよ!オレも仲間に入れてくれてもいいだろ!?」
「理真ちゃんと同じ学校の友達だよ。ハチコウ。今日はお疲れ様。バイバイ。」
「ど、どういうことだよ!」
「今日だけ車、貸してあげるから。」
 セナはハチコウにそう告げて事務所のドアを閉めようとする。しかしハチコウは必死に抵抗した。


30-2




「おい!お前の車、武器入ってるだろ!あれごとか!?」
「ねぇ、そこんとこは頼むよぉ。友達だろ?」
「なるほどな。新しい彼女候補ってわけか。お前はそういう目でしか女を見れないのか?」
「そんなことないよ。理真ちゃんには健全に相手してるよ?」
 ドア越しでコソコソと会話をするセナとハチコウに夏実は遠くから顔を顰めている。
「あぁ、理真がいたな。理真だけだろ。」
「オレね、理真ちゃんはどちらかと言うと妹ってより、弟って思ってる。」
「…それは流石にかわいそうだろ。女の子くらいには見てやれよ。」
「ハッハッハ。じゃね。ハチコウ。」
「オイ!」
 セナはドアを閉めると素早く鍵を掛け、ため息をついた。なぜか今日は疲れることばかり起きるのだ。
「なんで勝手に入ってるの?びっくりするでしょ。」
 後ろへと振り返り、夏実に目を向けた。すると夏実は目を鋭くさせて睨みつけてきた。
「鍵を開けたままにしておくお前が悪いんだ。それに勝手になっちゃんなんて呼ぶな。気色悪い。」
「気色悪くてすいません。」
「…そんなことを言いに来たわけじゃないんだ。本当は。」
 明らかに以前とは様子が違う夏実に、セナは首を傾げた。あの勢いは今の彼女には微塵も感じられない。切なそうな顔をしている彼女は、本当に女神のようだ。
「この前は悪かった。つけて来たのは謝る。私も少し好奇心に任せてしまった部分があった。」
「オレが脅したのに、逆に謝られるとオレも罪悪感感じるなぁ。」
「あたし、あんたがそこそこいい奴だって、分かってるから。」
「どういうこと?それ。」
 彼女は真っすぐに机の上を指差した。
「あの灰皿。」
 机の上のポテトチップスに半分隠れている灰皿にセナは目をやった。
「あんた本当は煙草吸うんじゃないの?だけどここは煙の臭いなんてしない。理真が来てから止めたんじゃないの?」
「オレ吸わないよ?それはさっきオレと話してた友達が吸うからだよ。」
「嘘だ。」
 強気で彼女は言う。セナは呆れたようにまたため息をついた。
「このダンボールに買い溜めしてるじゃないか。この分だと、かなりのスモーカーだったんだろ。」
「…そうだよ。理真ちゃんがぜんそくだから止めたの。これでいい?そのダンボール欲しければお父さんに持って行ってあげたら?」
 机の下から持ち出したダンボール箱をセナに見せつける夏実は、平然と答えた。
「父は禁煙中だ。持って行ったらまた逆戻りだ。」
 そう言ってダンボール箱を床に落とし、足で乱暴に蹴って机の下に戻した。
「で?オレが元スモーカーだっていうことを、オレに突き付けるためにここに来たの?」
「なんだその言い方は!依存していたのに、よく理真のために禁煙に成功したなって褒めてやったんじゃないか!」
「止めるのが普通でしょ!?え!?違うの!?」
「私の父が良い例じゃないか。家族のためを思っても、禁煙できない人はいる。それに、大切だなんて思っていなかったら、禁煙なんてしようと思わないだろ。お前は理真を大切に思ってる。」
「どうもありがとう。褒めてくれて。」
 アンドロイドの彼にとって、煙草に対しての依存というものはなかった。しかしスモーカーだったと言うことは事実。理真がぜんそくだと知って止めたのも事実だ。依存もしてないのに、なぜあれほどまでに喫煙していたのか、自分でも分からない。何かからの焦燥感だったのだろうか?アンドロイドとしての自分に腹を立てて絶望していたからだろうか?
「メアド、教えてもらえないか?」
「え?オレの?別にいいけど。」
「あ。そう言えば学校で理真とメールし合ってるのって、お前か?」
「…オレだと思うけど。」
 きっと他にメール友達がいないから、自分だろうとこの男は考える。
「そうか。…理真がメール見ながら1人で笑っているのはお前のせいか。」
「笑ってるの?1人で?」
「あぁ。本人は我慢してるみたいだけど、時々吹き出してる。」
「なんだ。本当は喜んでるんだ。」
 てっきり本当に嫌がっていると思っていたが、なんだ。照れ隠しだったのか。
「もう1つ。お前は理真を困らせたら私を殺すと言ったな?」
「あぁ、前言撤回。あの後理真ちゃんが不機嫌になっちゃってさ。」
「その必要はない。私もお前が理真を困らせたら殺すことにするから。」
「は?」
「どうだ?これで同じ条件だ。何も気にする必要はない。」
 胸を張って彼女はセナに笑いかける。何もしなくても殺されそうで恐ろしい。
「私もできる限り学校では、理真の話相手になれるように努力してみる。」
「君も過保護だねぇ。」
「今日のテスト終わった後、理真が机に頭を打ち付けていたぞ。」
「あぁ、撃沈だったんだね。やっぱり。」
 相当な奇跡がない限り、撃沈は免れない状況だったのだ。撃沈は当然だ。理真の身に奇跡など起こるはずがない。
「よし、最後だ。」
「まだ何かあるの?理真ちゃんがもう少しで帰って来るから、お昼ご飯作らなきゃいけないんだけど。」
「写真を撮らせてくれ。」
「またどうしてそんなお願いなの?」
 夏実は不満気に視線をセナから逸らした。
「あたしの友達がお前の後ろ姿を見たんだ。それであたしは理真が心配になってお前をつけた。本当は写真を撮って来いと言われていたんだが、流石にそこまではできなかった。けど友達にイケメンだったって話したら、写真を撮って来いって更にうるさくなって。勿論お前の事情には触れない。理真の友達だと言うだけだ。」
「ふーん。で、オレは脱げばいいの?」
「いや、脱がなくていい。…気色悪い。」






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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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