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2012.03.28     カテゴリ:  Duty-本編- 

   23話 2番目の同居人




 仕方なく工場に彼女を連れて来たオレは、彼女と一言も話をしないでそのままテーブルの椅子に彼女を座らせて、ただじっと彼女を見つめていた。困ったような顔をし続ける彼女を見ているうちに、オレは彼女が腹を空かせているものと勘違いをして、工場にあった有りっ丈の食べ物をテーブルの上に出した。
 余計に困っている彼女にもオレは気づかず、そのまま大量の食べ物をテーブルへと運んでいると、「もういいです。大丈夫です。そんなに食べられません…。」と勇気を振り絞った声で彼女が言った。オレが菓子パンやらポテトチップスやらを抱えたまま立ち尽くしていると、彼女はオレに遠慮がちに微笑んだ。
 …それからだった。同居が始まったのは。

「それ、あたしと同じ。」
「言ったでしょ?有里香は理真ちゃんの姉貴分だって。オレは人間の世話をするのは素人じゃないよ。理真ちゃんが2回目。」
 そうだったのか。私は2番目の同居人。だから彼も手慣れていたのか。

 彼女が高校を卒業するまでの1年間、オレは彼女の面倒を見た。彼女は頭が良かったから、「大学に行きたいなら学費は全部出すよ?」と言うと、彼女は就職したいと言い出した。小学生の頃、見学に行った憧れの大手企業の受付嬢になりたかったのだ。どうやら当時の受付担当の人が優しくて、いろいろ会社について説明してくれたらしい。他の社員以上に部署の知識を広く持ったその人と同じようになりたかったようだけれど、彼女の父は全く聞く気すらなかったようで、彼女がオレに話した時も半ば諦めが混じっていた。でもオレは止めなかった。アンドロイドであるオレが、人間の人生に首を突っ込むべきではないと思ったから。
 彼女が高校を卒業すると同時に、オレは安全で綺麗な住宅街のアパートを借りて、彼女に1人暮らしをさせることにした。彼女も自立することが必要だった。けれどそれは上部でのオレの気持ち。本当は出て行ってもらわないと困る状態だった。

 オレは彼女にアンドロイドということを隠していた。彼女も彼女でいろいろ聞いてはまずいと思ったのだろう。なぜオレが銃を持っていたのかも、何の仕事をしているのかも、ほとんど聞いてはこなかった。…隠れて仕事をするのはオレにとって辛かった。だからと言って仕事をしないわけにもいかない。オレ1人で暮らしているならよかったけれど、オレは彼女を養い、金銭的援助をし続けなければならない。彼女ももう大人だ。面倒をみることと、金銭的援助、アンドロイドということを隠すこと。全てを両立するのはもう限界だった。だからオレは面倒を見ることを捨てて、金銭的援助と自分の正体を隠すことにしたのだ。
 そんなことも知らず、彼女はオレがアパートを借りてやったと言うと、泣き出しそうな顔をした。綺麗で輝いた瞳に、どうして涙が溢れるのか…オレは何も理解できなかった。 
全てを知ったのはその日の夜だった。彼女は初めてオレが好きだと口にした。そこで初めてオレは自分の養い方が間違えていたことに気がついた。

「理真ちゃん。中国のパンダちゃんが日本に来て、しばらくして準備が整って落ち着くと、飼育員の人たちは次に何をする?」
「いきなり何…?」
 深く聞き入っていたというのに突然パンダの話しに切り替わった。
「次にオスとメスを一緒の部屋で育てるでしょ?何が狙い?」
「…赤ちゃんパンダ?」
「そう。飼育員の人はちは強制的に一緒にさせて、赤ちゃんパンダを産ませようとする。パンダちゃんたちの気持ちも知らないで。」
 思わず私は首を傾げた。
「ロンロンは本当はランランが好きなのかもしれない。リンリンは本当はシンシンが好きなのかもしれない。だけど飼育員たちはロンロンとリンリンをくっ付ける。ということはだよ。1つの部屋で数カ月一緒にいるようになると、自然と好きになったり、好きになったっていう錯覚に陥るんだよ。そして赤ちゃんパンダができる。」


パンダ現象2



「それは人間も同じって言いたいの!?やめてよ!人間には理性も知性もあるのに!」
 ロンロンとリンリンで例えないでほしい。しかし彼はニンマリと笑ってこう言った。
「理性も知性も本能には勝てないんだよ。」
 彼は人間ではないからこういう分析をするのだ。妙に科学的というか…。
「何も言わず一緒に住んだのが間違いだったんだ。オレが最初からアンドロイドだって言って、同じ生物じゃないって示しておけばよかったのに。そうすればオレは男として見られなかったんだろうね。」
 今振り返ると、彼は私に自分はアンドロイドだと出会ってすぐに言った。…それはもしやパンダ現象を防ぐためだったのか?

 オレは彼女を拒否しなかった。彼女はオレが好きだという人間。オレはこの人間に逆らうべきではないと思った。オレが人間以下のアンドロイドということは変えられない事実だったから。

「それから4、5年ずっと付き合った。アンドロイドだということを隠してね。」
「4、5年!?」
「結婚話が出る前でよかったよ。そしたらオレはもっと彼女を傷つけてた。」
「でも、セナも好きって言われて好きになったんじゃないの?」
 当然肯定の声が返って来るものと思っていた。しかし彼は黙ったまま、夕日のオレンジの光りを浴びる草むらの草をむしり始めた。
「…好きだったんだか…。」
「…え?」
 どうして?あれだけのろけていたではないか。あれだけのろけるには、本当に愛していないと不可能だ。
 …あ。その不可能とは人間としての不可能。アンドロイドの彼なら可能かもしれない。
「オレには男女間の好きなんて気持ちは分からない。…アンドロイドだから。本当は寂しかったんだ。ずっと孤独で。だから好きって言われて、この孤独から救ってもらえるかもしれないなんて考えたんだ。それに好きだって言われて、自分も好きになる可能性だってあるかもしれないと思った。…最低でしょ?オレ。」
 そうだ。お前は本当に最低だ。なんて今の私には言えなかった。
「その後すぐにハチコウに出会った。元々は頭がいかれたアホなアンドロイドでさ。オレが右腕縫合してやったのに、ハチコウは自分のナイフでオレを殺そうとするし。…箸の持ち方から教えてやったよ。暴力意外、何もできない奴だったから。おまけにコウなんて名前まで付けてやって。」


ハチコウ・セナ



「それって呼び名でしょ?元々のハチコウの名前って?」
「Code No.134 ハチコウ自身、忘れてるみたいだけどね。アホは治らなかったから。」
「もしかしてさ。セナって名前…。」
 彼は私に微笑む。そういうことなのか?私の間違いではないのか…?
「有里香がオレに付けた呼び名だよ。」
 やはり間違いではなかった。
 彼の無理な微笑みが、彼の綺麗な瞳が、私に苦しいと訴えている気がした。しかし彼は私に心配させまいと仮面を被る。流石だ。私もそれだけ耐えられたら、彼に迷惑を掛けることもなかったのだろうか?…私が強かったら?そしたら私も彼のように悲しみを隠せたのだろうか。
「オレも深い話は知らないけど、昔有里香の家の近くで飼われてた黒いラブラドールの名前がセナだったらしいよ。」
「え…じゃ、由来は犬!?」
「死んでも誰にも言わないつもりだったんだけどね。」
 近所の犬の名前が自分の呼び名の由来…。それは誰にも言いたくなくて当然だ。整った顔立ちの綺麗なセナにはぴったりの名前だと思っていたが、何だがイメージが変わってしまった。セナの顔を見る度にラブラドールの顔が出てきそうだ。だがよく考えてみれば、セナの雰囲気はラブラドールに似ているかもしれない…。
 夕日がビルとビルの間へと入り込もうとした時、セナがまた言葉を発した。
「理真ちゃんをちゃんと育てる自信はあったんだよね。2回目だったし。だけど思わぬところに盲点があった。有里香の時は、オレが何の仕事をしているのかも、オレの正体も言ってなかったから、武器は全部彼女の見えない所に隠してた。でもオレは理真ちゃんに仕事も正体も言って、安心しちゃったんだよね。だから無造作にナイフなんて机の上に置いてたんだ。本当にオレ、気が回らなくて…。」
「い…いいよもう。」
 これはセナの反省会か?なら1人でやってくれ。私は先に帰っているから。
「アンドロイドなら完璧にできて当然でしょ?でもオレはそんなことも完璧にできない。当然のこともできない。今のオレはアンドロイドでもない、人間でもないただのカスだよ。」
 セナでもここまで病むのか!?まるで心は人間で、体だけはアンドロイドのようだ。
「ねぇ、セナ。」
「…後にして。」
「あたしの話も聞いてよ!もしかしてセナ、あたしもセナの彼女みたいにお金…。」
「大学に行きたいなら、学費全部出すよ?」
 頭を抱えたまま、彼が当然のように言った。
「高校卒業までちゃんと面倒も見るし、大学に行ったら、アパートとかマンションもお金出すよ?」
「えぇ!?そんな!」
「いいのいいの。高校卒業くらいになったら、理真ちゃんもオレがウザく感じて1人暮らししたくなるだろうから。それに、オレは理真ちゃんに人間らしい生活をしてほしいの。高校卒業まではオレのゴキブリみたいな生活を見て、こういう風にはならないようにしようっていう、反面教師だと思ってくれればいいから。」
「でも悪いよ…そんなの。」
 流石に大学の学費まで彼に与えてもらうわけにはいかない。それは絶対に。
「オレがしたいの。それにお父さんとお母さんが残してくれたお金は、大切にとっておきな。好きな人に巡り会えたときのプレゼントとかに使いな。きっと喜ぶよ。」
 なんて奴だ。私は目の奥がじんと熱くなり、言葉が発せられなくなった。
「最後にさ、オレの馬鹿馬鹿しい将来の夢を聞いてくれる?」
「は?」
 あぁ、やっぱりこのアンドロイドは馬鹿だ。彼女を失って、すぐに将来を語り出すなんて。
 彼は突然立ち上がり、笑いながら言った。
「オレ人間になりたい。」
「いや無理でしょ。」
「だよね。オレ人を愛する気持ちも知りたいし、家族がどういうものかも知りたい。人間にとっては普通のことなんだろうけど、オレはそんなことでさえ、生まれ変わらないと叶えられない。なんでアンドロイドに生まれて来ちゃったのかなぁ。」
 頭ごなしに無理だなんて言ってはいけないと分かっていた。けれど無理なものは無理だ。彼がアンドロイドとして生まれて来たという事実を捻じ曲げることは不可能なのだ。無論、生まれ変わることも不可能。彼はけして人間にはなれない。そのせいで彼はどれだけの幸せを逃してきたのだろう。
 セナはそのまま草むらを歩いて行き、少年たちが野球の練習をしている所へと向いた。
「理真ちゃんもやる?」
「やりに行くの!?」
「うん。やらない?」
「あたしはいいよ…。運動できないし。」
 「ふ~ん。」というような顔をして、彼は少年たちの中へと入って行き、いつもののん気な声で「混ぜてよぉ。」と少年たちに言い回った。
 彼が大人気無いプレーをしたのは目に見えるだろう?しかし少年たちは憧れの目で彼を見ていた。



 アンドロイドだということも知らずに。





前半はこれで<終>です☆

どうでしたでしょうか…
ただ長いだけだったかもしれません…


「えっ!?まだ前半!?」と
思われる方もいらっしゃるかもしれません。


ですが後半は、結構あっという間かもしれません…

(計画上ですが…)


これからの内容に少し驚かれる方もいらっしゃるかもしれません…

(計画上ですが…)


感想、コメント、キャラについてなど、
いただけると、とても嬉しいです☆

今まで、たくさんいただきました!

そのたびにニヤニヤしまくってます☆

絵も文章も頑張れます!


後半は少し、ハードになると思います
文章も、内容も、絵も…泣

なのでっ

私に力とニヤニヤをくださいw


これからも
よろしくお願いします☆


受験生&生徒会長なので試験など
更新が難しくなる期間が増える可能性があります

その場合は、必ずお伝えするよう努力します!


どうか、最後まで
見届けてほしいです…


Byリンス

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プロフィール

 リンス 

Author: リンス 
リンスといいます☆


大学三年生です!
最近、就職についていろいろ悩み中です

小説「Duty」が完結し、これからどうするか考えています!

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